techghost

【第092回】アメリカと日本での起業の違い(全文テキストあり)

lean startup


Pocket

WebPayの久保さんにアメリカと日本での起業の違いについてお聞きしました。

    お品書き:

  • バイトの代わりにWebサービスを開発
  • アメリカでの会社設立にかかる費用
  • 組織と個人の投資家の違い
  • スタートアップを始めるということ
  • アメリカと日本の一番の違いは競争環境
  • 日本では後発でも間に合う
  • 課題意識からサービスが生まれる
  • シリコンバレーではナショナリティをも武器になる
  • ユーザが幸せになる課題解決

WebPay:
https://webpay.jp/

TechCrunchの記事:
http://jp.techcrunch.com/2014/02/25/jp20140225webpay/

【オープニング】

長谷川: かなりお忙しいと思うんですが。。

久 保: おかげさまで。

長谷川: 趣味とか、あるいは余暇みたいなところで、どんなことされてるんですか。

久 保: そうですね。日常的には走ったりとか。最近あんまり走ってないんですけど、走るのは好きで、アメリカとかにいたころとかは、シカゴマラソンって、こう・・平たんな42.195キロで走るみたいな感じのことがあって、結構その時、Nike+(ナイキプラス)とかが、こう。Nike+でしたっけ。

長谷川: Nike+。

久 保: あれが流行ってた時期だったので、買って、走り始めたりしました。最初5キロくらいで走るの大変だったのが、10キロ走れるようになり、20キロ走れるようになりみたいな感じで、マラソンに参加したりとかっていうこともありましたし。日本に2012年の12月くらいに帰ってきたんですけど、結構本格的な冬を初めて迎えて、結構東京に住んでると、いろいろエンターテイメント多いので、今年の冬はスノボーに何度か行ったりとか。

長谷川: スノボーに?スノボー、初体験ですか。

久 保: スノボー初体験です。スキーもスノボーもしたことなくてですね、やってみるとすごい楽しくて、はまって。最初、初めて行ったときと別の友だちとかとまた2回目行って、3回目行ってみたいな感じで。結構今、はまってます。

長谷川: スノボーに行きたいから、会を企画する的な、そんな感じですか。

久 保: そうですね。「行こうよ」みたいな感じで。

長谷川: すごいですね。スノボーってどのへんに行くの?長野県とかに行くの?

久 保: この前行ったのは越後湯沢。新潟の越後湯沢で、あそこで。

長谷川: 結構遠くないですか。

久 保: それでも結構近いんですよ。東京からだとホント、1時間ちょっとくらい。

長谷川: え!?新幹線で?

久 保: 新幹線で、ですね。しかも越後湯沢って、駅から、ほんと10分もないくらいでスキー場があるんですよ。駅前にスキー場があるんで、なので駅着いたらそこから、例えばスノボーのウェアとかに着替えてる人とかがいたりとかして、すぐに滑れるみたいな感じで。

長谷川: 直で行って、戻ってくるみたいな、そういう感じですか。

久 保: そうですね。あとは最近日本酒を覚えて。越後湯沢ってなんか、「ぽんしゅ館」っていう日本酒とかを100個くらい飲み比べできるみたいな、エンターテイメント性に富んだ施設とかがあったりして。

長谷川: それ、駅の中にあるやつじゃないですか?

久 保: 駅の中にあるやつです。そうです、そうです。

長谷川: そうですよね。知ってます、知ってます。

久 保: そこに行ったりとか、あとは駅の中に日本酒風呂みたいな感じで、日本酒が含まれた温泉とかもあったりするんですよ。

長谷川: 足湯とかじゃなくてですか。

久 保: 足湯じゃなくてです。

長谷川: 普通に入れる温泉。

久 保: 普通の温泉に日本酒が含まれてますみたいな感じで、そういう所もちょっと行ったりとかしてますね。温泉も好きです。

長谷川: 日本満喫じゃないですか。

久 保: 日本満喫してます。結構、アメリカに8年くらいいたんですよね。日本に帰ってきたんで、せっかくだったら満喫したいなっていうので、食べ物とかも結構。たまにお寿司とか食べたりとか、刺身とか食べたりとか。そういうのもやっぱり日本酒とか呑んだりとか、もしくはイベントでいろんな所行ったりとかって感じですね。

長谷川: なんか、日本かぶれの外人みたいな感じになってますよ。

久 保: 確かにそうかもしれません(笑)

長谷川: 久保さんって、どんな経緯をたどっているんですか?

久 保: 元々は長崎出身なんですよ。高校の頃まではずっと長崎にいて、大学が僕、アメリカの大学を受験したので、それでアメリカの大学に進学して。そこミネソタ州で、マイナス40度の世界とかなんですよ。なので冬とかだとマイナス40度でこう、息が凍るみたいな。

長谷川: 本当に氷の世界ですね。

久 保: そうなんですよ。本当に、結構寒くて。そこで4年から5年くらいいて、そのあと3年くらいサンフランシスコに引っ越して、サンフランシスコでIT系の事業をやってたみたいな感じですね。

長谷川: なるほど。それがあれですね。先週、お話いただいてた3社あるうちの2社目。

久 保: 2社目です。

長谷川: ということですね。今日は2社目のサンフランシスコで起ち上げられた会社の話をベースにですね、日本で起業することとアメリカで起業すことっていうのを、両方経験されている方ってあんまりいらっしゃらないと思うので。

久 保: 確かにそうですね。

長谷川: そういった部分のお話をお聞きしていくというような感じで、よろしいですか。

久 保: わかりました。よろしくお願いいたします。

長谷川: はい、それでは『techghost:テクたま』始まります。

【本編】

長谷川: 初めにその、サンフランシスコで企業された会社っていうのは、そもそもどんな経緯で、どんなサービスされてたんですか。

久 保: そうですね。やってたのはクラウドホスティング事業で、今でいうとHeroku(ヘロク)とか、あとはもうなくなったんですけど、dotCloud(ドットクラウド)っていうYコンビネーターとかの系列の、系列というか支援されている会社とかがあって。

長谷川: あれ? DotCloudって、どこかに買われたんじゃないですか?

久 保: 今はDocker(ドッカー)っていう会社に名前を変更しました。Dockerって今、AUFSとか使ってて、結構テック界だとすごい話題のサービスなんですけれども。

長谷川: Naoya Itoさんが言ってたやつですかね。

久 保: そうですね、多分。いろんな人が言及してると思います。仮想技術のほうですね。その競合サービスみたいな事をやっていて。ただ、もともとはですね、アメリカの大学に在学中に結構Webサービスをよく作っていて、もうたくさん作ってたんですよ。というのも、アメリカの大学って結構4年間で2500万円くらいかかるんですけど、年間600万円くらいですか。掛け4くらい。普通の家庭だと出せないじゃないですか。もちろん親も出す金額が限られているので「無理だ」っていうことで、自分で休学してたまに日本に帰ってアルバイトして、お金を、学費を貯めてもういかい復学するというような苦学生みたいな感じで頑張ってたんですよ。結局それで、休学とかしながら卒業したっていう感じだったんですけど、最初は飲食店とかでアルバイトしてると、もうお金も稼げないので、らちがあかないわけですね。なので、ちゃんと、もうちょっと稼げること何かあるかなと思って考えてたら、Webサービスを受託で開発したりとかするのは割がいいと思って、それでいろいろWebサービスを作って、育てて、売ったりとか。もしくは受託とかで、案件でクライアントのために作ったりっていうのを繰り返してて、その時にAWSとか使ってたんですけど、やっぱりこう、使いづらかったりとか、サーバーとかのメンテナンスが大変だったり、毎回毎回、構築するのも大変だみたいなのもありますよね。

長谷川: 相当初期バージョンですよね、しかもAWS。

久 保: そうです、そうです。AWSの2007年とか8年とかですかね。まだ多分、ベータとかだったのかな。招待制とかだった時期だとは思いますけど。ちょっと詳しい時期は忘れましたけど。

長谷川: ここで、僕一言いっておきたいんですけど。よく、このクラウドホスティングサービス、「AWS使えばすぐじゃん」みたいなことをおっしゃる人ってすごく、最近は多いんですが、AWSすごい難しいですからね。

久 保: そうですね。ただ、最近だとやっぱりEngine Yard(エンジンヤード)とかHerokuとか。

長谷川: Paas系。

久 保: Paas系がいろいろ出てきたので、ずいぶん楽にはなってきましたよね。

長谷川: 楽になりましたけど、なんか本当、検証サイトとか。検証サイトって、テクノロジー検証とか、あとはデモ環境を作るとかだったら、全然いいんですけど、本番環境として運用するのって相当テクノロジーを知ってる人じゃないと、運用を知ってる人じゃないと難しいので、お勧めはEngine Yardです(笑)

久 保: そうですね。

長谷川: ごめんなさい、脱線しました。

久 保: 普通のノウハウに加えてAWS独自の知識とかも必要になるんで、そうやっていろいろやっていく中で、自分の中に溜まったノウハウとかをよりテンプレート化して、みんなが簡単に使えるようなPaasがあればいいんじゃないかと思って、それでちょっと、そういうプロダクトを作ってたんですね。ただ、卒業の前の時期で、作り始めると、やっぱり大がかりな仕組みとかになってくると、コストとかもかさむので、そうなると、まず会社設立してやった方が割がいいよねっていう分岐点みたいな所があるので、それでじゃあ、本格的にそれをやろうと思ってやり始めたっていうのが一番のきっかけでしたね。

長谷川: そのやり始めようと思っていたときには、すでにサービスとしてリリースされてたんですか。

久 保: サービスリリース前でした。アルファテストみたいな形で、一部知り合いとかに使ってもらったりはしてたんですけど、まだ一般公開とかは全然できないくらいの、まだ作り込みが甘いくらいの状態でしたね。

長谷川: なるほど、なるほど。そのタイミングで、じゃあ、もう会社としてやったほうが効率がいいってことなんですかね。

久 保: そうですね。効率がよい。あとは資金調達とかもやっぱり必要な事業だなと思ったので、資金調達をすると思うと、やっぱり会社作っておかないとそもそもできないかなみたいな感じでしたね。

長谷川: なるほど、なるほど。その時の設立って、どうやって設立したんですか。

久 保: そうですね。時期的には2010年の3月くらいだったんですけど、結構・・。

長谷川: お金もかかるじゃないですか。

久 保: お金もそんなにかからないんですよ。

長谷川: 登録自体に。

久 保: 登録自体、アメリカで会社を設立するって本当、200ドルとかなんで2万円くらいでできるんですよ。2万円でオンラインの入力フォームとかにポチポチポチと必要事項を記入して、送信ってすると、それだけで作れるんですよ。

長谷川: すごいですね。

久 保: で、年間2万円くらい同じく、維持費とか払うと、維持できるんですよ。

長谷川: なるほど。

久 保: 会社作る事自体はそれくらいで。ただ、それから本社の登録とか、いろいろやっていくと、弁護士の方とかに入っていただいたりする必要があるので、その頃にはやっぱりお金はかかりますね。

長谷川: そこ、Webサービスを作って、売ったりとか、あるいは受託したりとかいうところの自己資金でまかなったんですか。

久 保: そうです。自分で学費とか払って、結構、いろいろ働いてたとか、自前で学費稼いでたときがあるので、それで余ったお金というか、貯めたお金。それを当てたみたいな形ですね。

長谷川: どのくらいの金額かはわかんないんですが、でもそんなに大きな金額じゃないと思うんですよ。

久 保: そんなに大きな金額じゃないです。本当に数十万から百万ちょっととか。本当に少し残って、そのお金を使ってたんですけど、別に20代、その頃前半とかなんで、何か、お金がかかるような生活をしてるわけでもないじゃないですか。なので、自分の生活費くらいがまかなえれば構わないくらい性質だったので、なのでオフィスとかは日系のですね、支援してくれる、機関とかで、審査通ったらオフィス代タダみたいな感じで、貸してもらえてたんですよ。そうするとオフィス代もかかんない、パソコンは自分のがある。住むところとかも安いところに住んで、食べるものはだいたいたかがしれてるっていう感じで、ある程度大丈夫だったって感じですね

長谷川: なるほど。なんか本当に絵に描いたようなスタートアップストーリーですね。

久 保: そうですね。

長谷川: なるほど。それをやって、でもどこかでお金を入れたんですか?

久 保: そうですね、個人の投資家の方から。最初アメリカ人の人とか、何百人とかピッチしてたんですけど、なかなか決まらなくて。ただ、結果的には、『TechCrunch Japan』に取り上げられたのがきっかけで知り合った個人の投資家の方から、合計で結局4500万くらいですかね。

長谷川: おお、すごい。

久 保: 投資していただいて。何回かに分けてですけどね。

長谷川: なるほど、なるほど。

久 保: 最初は2000万くらい投資して頂いて。またそれから、いわゆるマイルストーン達成したくらいで追加で資金を調達してという感じでしたね。

長谷川: 『TechCrunch』経由で知り合ったっていうところで、ベンチャーキャピタルというか、組織として運営してる人たちに出さなきゃいけない条件みたいなものと、個人の人の場合、違ったりするんですか。

久 保: 全然違うと思います。

長谷川: どんな感じで違うんですか。

久 保: 個人の投資家の場合は、もう結局全て、その一人なので、そのお金を持ってる個人の投資家の方が、例えばロジカルな方だったら「いろいろ情報欲しい」なんていう人はいるでしょうし、でもその人が納得すればいいわけですよ。それはもう、どういう理由であれ、その人が納得すれば投資をするし、納得しなければ投資をしないということなので、固まったフローがある訳ではないと思います。ただ、企業のVCだと逆で、例えば担当者の方が「これは絶対に一緒にやりたい」と思ったとしても、例えばそのファンドを出してくれる方がいたりとか、投資委員会があったりとか。いろいろ、他の人を説得する場っていうのがあるので、結局、客観的にその投資に耐えられるかとか。事業性があるかとか、いろんなフローが確立されていて、それにのって説得していく必要が出てきますよね。

長谷川: なるほど。どっちが楽とか、ありますか。

久 保: 圧倒的に最初は個人投資家が楽でしょうね。

長谷川: 初めは。

久 保: 初めは。やっぱり実績がない状態で、一歩目を踏み出すときにどうなるかっていうと、やっぱり思いを共有できる人とかが支えてくれるっていうのは確実にあると思うので、思いを共有できるっていう意味だと、やっぱりこう、フワッとしてるんで、そのフワッとした思いみたいなのが、共感みたいなのが、っていうのになるとやっぱり個人の投資家とかになることが多いですよね。

長谷川: なるほど。

久 保: ただ、今、日本とかでもインキュベーターとか増えてきてるじゃないですか。なので、ああいう組織として、一番最初のゼロイチを育てるみたいな組織が出てきているので、そういう所にのってしまうっていうのも、ひとつ、いいんだろうなとは思っています。僕はそういうのはちょっと、時期的に使わなかったというか、使えなかったのはありますけど。

長谷川: なるほど。そうですね。インキュベーター、いらっしゃるんですけども、でもやっぱり難しいみたいですね。ゼロイチの部分に投資してもらうってことは。日本で見てると、1以上になった人に投資は集まるんだけども、ゼロイチだと・・なかなか。

久 保: でも確かに、ゼロイチの0の状態でっていうのはさすがにないと思います。結局、僕がやってた会社も、0とはいっても『TechCrunch Japan』にも記事、掲載されたりとかくらいの実績はある訳で。たぶん最低限、そういうこう、何らかのトラクションはもちろん必要だなと思いますよね。

長谷川: だから、0.3以上は必要みたいな、そういう感じですか。

久 保: そうですね。事業は黒字化してないけれども、ちょっとバズってるとか、何らかのこう・・「これはいけるかもしれない」みたいな兆しがそもそもないと。

長谷川: そうですよね。

久 保: ダメですよね。

長谷川: それはやっぱり、条件っていうか、材料を持っていかないと、本当のゼロっていうのは難しくて、本当のゼロだと、何だろうな。なんか、ビジネスプランコンテストみたいなところに、「優勝したら出します」みたいな、そういう感じじゃないとなかなか難しいって。

長谷川: いやぁ、もしくは・・最近だとビジネスプランで、それに価値を見出す人も少ないと思うので、結局は、よく言われるのは「オペレーションがすべて」みたいなところがあるので、あまりこう、プランがいいとか、アイデアがいいから投資したいっていう人が世界中のどこかにいるかっていうと、僕は見たことはないですね。

長谷川: なるほど。そういう世界なんですね。

久 保: はい。

長谷川: あとは何か、形になってるもの?すべてができてなくてもいいんですけども、自分の思っているコンセプトっていうのが1つの、ある程度、形になってると、たぶん話はしやすい感じですかね。

久 保: そうですね。きっと、プロダクトが完成してるとかではなくて、例えば、よく、有名な例だとzapposとかが、Webサイトを作っている訳ではない。もしくは「すべてのシステムができあがっている訳ではないけれどもランディングページだけあって、そこから注文が出た時に、近くの靴屋さんとかに買いに走って、みたいなので、それで郵送して、付加価値として靴屋さん、近所の靴屋さんとか、スーパーマーケットとか、そういう所で買った靴とかよりも高い価格で売れて事業性があるんだったら、それはそれで1つの検証。仮説と検証は回ってるわけですよね。そういうPDCAの一番初期のいくつかが回ってるっていうのは、何らかの形であれ、あればいいのかとは思いますけどね。

長谷川: そこ、まさにリーンスタートアップですね。

久 保: そうですよね。

長谷川: あの考え方っていうのはすごく重要で、いろんな人にとってのリスクを軽減して、いろんな人がハッピーになる確率がすごく上がるので、ぜひやった方がいいんじゃないかなって。

久 保: 思いますね。

長谷川: ただ、やらない人の方がやっぱり多くて、ですね。いろんな条件があるんじゃないですか。まあ、めんどくさいとか。

久 保: なるほど。でも、本人のリスクを一番軽減しますよね。結局、スタートアップをやるとかって自分の人生の結構固まった時期を投下するわけじゃないですか。少なくとも、自分の人生3年、5年。これ、かけていいんだっけみたいなので、結局一番最後までケツをもって、責任負わなきゃいけないのは自分自身なので、じゃあそれをこう、やるに耐えられる事業性はあるのかとか、話題性とかも含めていろんな仮説とかがあって、それを本当に、それって、仮設は正しいのかとかって思うと、ちょっと・・本当に、人生突っ込む前に、そのいくつかを検証しようよっていうのは思いますし、結局リーンスタートアップっていうのはそういう事なんだろうなって思いますね。

長谷川: そうですね。仮説って言っているものが実は妄想じゃないのかみたいな。

久 保: 多いにして、妄想から始まるんで、それをこう、検証は必要ですよね。

長谷川: そうですね。実験・検証・計測とか、あれのプロセスを回すっていうのがリーンスタートアップの一番基本になっているところで、そもそも課題に対して、「その課題は解決する価値があるのか」みたいな、そこから入るので、「確かにな」と。「自分がめんどくさいと思ってても、他の人はめんどくさいと思ってないかもな」みたいないうところの、あの考え方はすごくおもしろいなと思って。あれ、どんどん実行すると、Webサービスとか・・Webサービスに限らずなんですけど、新しいビジネスをやりたいと思ってる人が、すごくリスクを低減した形でスタートできるんじゃないのかなと思って。

久 保: そうですね。

長谷川: 是非読んでみてくださいって感じですね。興味がある人は。なるほど。ちょっと話を戻しましょうか。それで、そのサービス自体はどこかで完成するんですよね。ローンチするんですよね。

久 保: もちろんです。もちろんです。

長谷川: で、サービスをずっと提供し続けるっていうところがあったと思うんですけども。

久 保: そうですね。実際、2011年の7月とかくらいに正式リリースという形でローンチして、もうちょっとベータで数十名から数百名くらいに使ってもらっているときは、もっと前からあったんですけど、正式リリースは2011年の7月で、結構話題にはなって、その都市の1ヵ月後の8月くらいに『TechCrunch』のアメリカのほうでも採り上げられたんですよ。結構それでほかのいろんなメデイアとかでもワーッと世界中で採り上げてもらって、なんかブラジルとか、ああいう所でもはやったりしたんですよ。結構いろいろ、「世界中ではやってるな」って。「この言語なんだろう」みたいな感じの所までワーッとはやったりとかして、盛り上がって。ただ、フリーミアムでやっていて。ただ、フリーミアムでやって、なかなか事業性を確立するっていうのも難しいなっていうのも感じながら、どんどんサービスは成長していくみたいな感じでしたね。

長谷川: 収益モデルみたいなものまでは、あまり考えてなく、「とりあえず使って」っていう感じだったところですか。

久 保: いえ、収益モデルももちろんあったんですけど、例えば、コンバージョンレートとか、あとはプレミアムユーザーへのコンバージョン率だったり、継続率だったりとかいうところで、いろいろ改善してて。ただ、そこが一番の課題だったなと思いますね。

長谷川: 課題だったというと・・。

久 保: なかなか上がらないのは、月額のARPUみたいなところでアベレージレベニューとかだと、少しずつ上向いているんですけど、ホスティングがそもそもお金かかるじゃないですか。なのでサーバーとかでワーっとこう・・。

長谷川: サーバーコストのほうがよりいっそう伸びちゃうっていうことなんですね。

久 保: そうです、そうです。スタートアップで始まったばっかりなんですけど、最初は1000ドルとか、だいた10万円とか5万円くらいの毎月の費用でまかなえていたのが、すぐに100万円超えるくらいにサーバー費用が必要になったりとか、月間ですね。そして、それ以上どんどん伸びるけれども、「黒字化いつになるんだっけ」と思いながら、サーバーを支えるみたいな時期とかがあったりはしましたね。

長谷川: それはドキドキしますね。

久 保: ドキドキします。

長谷川: おもしろいですね、なるほど。その時期があって、そのサービスはどうされたんですか。

久 保: 結局は、一部サービスは名前を変えたりとか、閉鎖したりとかしたんですけど、継続してる分については完全有料化して、そのサーバー費用をまかなえるくらいにきちんとお金をいただくというほうに舵をきりましたね。

長谷川: でもそれだったら絶対に黒字になりますもんね。

***

長谷川: それで、そういう状態になってから日本に戻ってきたってことですか。

久 保: そうです、その通りです。

長谷川: なるほど。

久 保: なのでちょっと事業の中で、クラウド事業っていうのが少し一段落・・。自分の手も離れたし、あとは「ここをテコ入れしよう」という雰囲気でも亡くなったので、じゃあ、黒字で回っているこの事業、脇に置いといて、新しいこと、なにか新起業で始めたいなと思ったときに、日本の決済市場というものに興味が出てきて、それで「やろう」と思ったというのがきっかけですね。

長谷川: なるほど。そこで今日の、たぶん一番キーになる、アメリカで起業するっていうのと、日本で起業するっていうことの違いみたいな所をいくつか聞きたいんですけども、一番違うなって思った事ってありますか?

長谷川: 一番違うなって思ったのは、競争環境ですね。アメリカだとやっぱりスピードが速いので、すごく最先端のものをみんなで開拓しようみたいな感じになってるんですよね。別にそれは先行者有利という訳ではないんですけれども、後発でも十分に勝ったりとか、大きくなったりとかすることもあるんですが、後発も先行者も、どちらもすごい速いサイクルでポンポンポンと出てきて、その中で競争が激化して優劣が決まるみたいな感じで、すごくスピード感が速いなとは思います。ただ日本はそういうのはあんまりないので、どの領域を見てても緩やかに立ち上がって、少しずつ大きくなったり。急激に大きくなったとしてもそこに競合が入る余地くらいはあるような感じで、まあまあ、少しのどかだなと思いますね。

長谷川: 日本の場合で競合があるっていうのは、もともと偶然、たまたま同じ時期に同じようなサービスがあるような場合は、競合になってる可能性があるんですけども、あとは何か、いわゆる大企業みたいなところがあとで乗り込んでくるって。でも決して速いスピードで追いつかないんですよね、なぜか。お金たくさんあるはずなのに。それで市場を、知名度を生かして、プロモーションを生かして、ユーザーを取っていきますみたいな。そういう感じのがよく見る光景かなと思っているんですけれども。

久 保: そうですね。なんか、後発でも間に合うというのは、日本の市場の特徴だと思います。なので、結構アメリカだと、日本とアメリカで、だいたいやっぱり競合というのは、後発とはいえども同時多発的に出てきていて、同じ時期に同じフェーズを迎えたみたいなことが多かったりはするのが僕の印象なんですけれども、日本だと、「あのサービス、おもしろいね。じゃあ、まねしてみよう」で、間に合うっていうのがあるので、大きな企業とかも盛り上がった領域に対して、新規事業として、あの領域で新規プロダクトを作りましょうみたいな感じで進んで、それぞれ大きくなることって多いですよね。

長谷川: なるほど。たくさん聞きたい事があるんですね。質問をしてもいいでしょうか。アメリカの場合で、同時多発的にいろんなサービスが上がってくる、進んでいくっていうお話なんですけど。なんで同じ時期に、同じようなサービスが来るんですかね。偶然とはあまり思えないんですよね。

久 保: それは問題意識じゃないですかね。例えばAWS使ってて、このへんが課題だなと思って、それを、課題を解決するプロダクトを作った、クラウド事業のときとかもそうなんですけど、結局それって、AWSを使う時期とかもだいたいみんな、同じじゃないですか。何かプロダクトができて、もしくは話題になって、それを使い込んでいく中で学習していって課題にぶち当たって、解決策を思いついて、何かプロダクトアウトするくらいの。結構みんな同じサイクルの中にいたりとかするので、なのでそれによって時期がかぶるんだろうなとは思います。

長谷川: なるほど。決して横のつながりがあって「俺も」「俺も」みたいな感じじゃなくて、みんな同じようなものに飛びついて、そこで同じような課題が見つかって、でも微妙に違うんだけれども同じようなサービス・・。それはすごいですね。起業するっていうか、サービスを作る人がそれだけ多くいるって事ですよね。

久 保: そうですね。

長谷川: それがそもそも文化としてないと、なかなか難しい事ですよね。

久 保: 確かにそれはあると思います。あとはやっぱり、海外というよりもアメリカのシリコンバレーとかだとすごく注目されてたりする、競争が激しい場所なので、アーリーアダプターとかイノベーターと呼ばれる人たちがみんな見てるんですよね。ちょっと間があくと、「もうこのサービスは大きくなった」「あの会社と全く同じ事だから別に興味ないよ」みたいな感じすごく大きなパイの人が一気にワッと、特定のプロダクトとかに集まるわけですよ。だからそのあとにまねしても遅いっていうのはあるのかもしれません。

長谷川: なるほど。すごく、よくわかりました。なるほど。それは、でも、いいな。そういう市場はちょっとおもしろいですね。燃えますね、それは。

久 保: でもその分たいへんだなって思いますね。

長谷川: でしょうね、間違いなく。本当に、だから、タフな時間を過ごすっていうのは、そういう環境があるからなんでしょうね。

久 保: そうですね。ただ、アメリカの良さもあって・・というよりもシリコンバレーの良さもあって、結構シリコンバレーってみんな多国籍企業だったりとかするので、僕は、いわゆる日系の企業家が、アメリカの会社を作ったみたいな感じだったんですけど、結構こう、「日本の下駄を履きまくって戦う」みたいな感じなんですよ。なので最初は『TechCrunch』とかに載ったときも、まず『TechCrunch Japan』に載った実績がもう既にあって、そのときに結構、ウェイティングリストとかたまっていて、正式リリースしたときには最大瞬間風速みたいなのは意図的に出すことができて、そうすると例えばシリコンバレーのイベントとかでメディアの人に会ったときも「リリースして2週間なんだけど、これだけ伸びてて」みたいな話ができるわけですよね。そうすると、「おお、すごいね」って興味を持ってくれたりとかするわけですよ。

長谷川: なるほど。

久 保: 結構それって、僕に限らずで、例えば競合であったdotCloudとかはフランス系の会社だったりとか、結構みんな他の国から来てたり、他の国とつながりが強かったりとかして。例えばフランスからビザをサポートして、たくさん優秀なエンジニアをこう「シリコンバレーで働きたいでしょ」みたいな感じで呼んでたりすることもあれば、それぞれコミュニティーの中で資金調達をしたりすることもあったりとか、僕の例みたいに、ユーザーのファーストカスタマーをそこで獲得して、まず事業性を確保したりとか、そういうこともできるので、わりとこう、下駄を履きつつ・・国の下駄を履いて、その中で戦うみたいな感じの所はおもしろいところだと思いましたね。

長谷川: それは初めて聞いた話です。そういうことなんですね。すごくおもしろいな。

***

久 保: 僕たちの会社は、アメリカのストライプっていう会社を使っているときに感動して、「このストラウプが日本にあればいいのに」と思って、日本になくて、それでストライプと互換性があるAPIを持った決済サービスとして日本で始めたんですよ。そういう時とかはやっぱり、互換性とかっていうのもすごくあったほうがいいと思ったので、真似られるものは真似るっていうのは思ってましたし、今の例えばAPIとかでWebPayをほぼ丸パクリで出すとかっていうのも出てきたりはしてるんですけれど、そういうのとかはむしろ好意的に受け止めていて、それこそ使うユーザーのためのメリットになるじゃないですか。だからそういう所で独自色を出すっていうのは、結果として誰も幸せにならないなというのは思ってますね。全ては課題解決っていう意味だと、解決したい課題があって、それを解決するためには何が最善なんだろうっていうのが重要な気がしますけどね。結局恩恵を受けるのはユーザーで、ユーザーがお金を払ってそれによってビジネスって成り立つと思うので、ユーザーが「どっちが幸せになるんだろう」っていうのが、結局は正義なんじゃないですかね。

長谷川: はい、わかりました。すごくいい話を今日は聞けてしまって・・。

久 保: いえいえ。

長谷川: ですので、まあ、まとめもしません。でも日本で起業しててもですね、あるいは海外で、どこの国でもいいんですけども、起業するのにも、全てはユーザーのために、社会がよくなるためにという目線でやるのを忘れないでほしいなと。なんかそんな印象を、僕は今日、思いましたね。課題解決するのも生活が楽しくなったりとか、豊かになるということが・・、なっていくことにつながっていくのがおもしろいと思ったりとかね。あとは何か・・自分がワクワクするサービスを作れるっていうのがすごく幸せなことだと思うので、是非、久保さんはこれで大きくなっていけて・・。もう「僕なんて会えません」って人になられるといいんじゃないかなと。

久 保: 頑張ります(笑)

長谷川: はい、本日はここまでのないようということでよろしいでしょうか。はい、では久保さんありがとうございました。

久 保: ありがとうございました。

2014-05-21 | Posted in techghostNo Comments »