techghost

【第069回】グローバル環境におけるコミュニケーションについて(全文テキストあり)

チームミーティング


Pocket

グローバルチームでのコミュニケーションやチームビルディングについてお話しました。

    お品書き:

  • グローバルチームとメンバーへの配慮
  • 英語の流暢さは仕事の本質ではない
  • 英語がネイティブではないチーム
  • 外国人としての経験が外国人を助ける
  • 言語の理解と文化の理解
  • 多言語環境でのチームビルディング

【オープニング】

皆さん、こんにちは。ピープルデザインの長谷川です。私が出てきたという事は、またしても『J』の話なんじゃないかと思っていらっしゃる方がいるかもしれないんですけれども、今日はちょっと違います。以前、ダメダメ外資の仕事といいますか、『グローバル・オペレーション』について、ちょっとお話させてもらって、要は、『勘違いグローバル企業』について、お話したわけなんですけれども、「じゃあ、ちょっとまともな会社になったらどうなっているんですか」という話をしてみたいと思っております。とは言っても、私自身が日系企業で仕事をしたことがないからよくわかりませんので、またちょっと、いわゆる外資系という事になってしまうんですけれどもね。

以前おりましたソフトウェアの会社ですね。これは日本では外資系という事で、アメリカ系の会社なんですけれども、そこで私は日本で『1人チーム』ということで、上司とか同僚が全部海外にいるという環境で仕事をしていたわけなんですよ。そもそも、そのチームでは各国の担当が各国に1人とかしかいないのですよ。日本だったら私、中国だったら誰某さん、アメリカはナントカさん、フランスはナントカさん、ドイツはナントカさん、みたいな感じで、各国に1人ずつしかいなくて、例えばシンガポールで1人上司がいて、ヨーロッパで1人上司がいてみたいな感じで、ピラミッドになっていく訳なんですけどね。

そうなってくると、自分の上司ももちろん同僚にも、普段一切会わないんですよね。対面で会う事は年に1回か2回、あるかないかというような状況で、普段どうしているのかというと、もちろんメールはやるんですけれども、だいたいビデオ会議だったり、テレカンですよね。電話で、パソコンの前で喋ったりするというような感じでコミュニケーションをとっていく必要があるんです。すると、「ちゃんとメールを返さなあかん」とか「誰をそのビデオ会議に呼ぶのか」とか相手のことに配慮して考えたり。呼ぶ時間ってあるじゃないですか、皆さん、時差がありますので。日本と中国だけだったら、別に日本の時間に合わせて、いつでもいけるんですけれども、ヨーロッパとかになってくると反対ですから。だいたい三大陸でやろうとすると、相当たいへんですよね。誰か、何処かの地域の人が痛い目に遭わなきゃあかんということで、私も夜中の12時、1時にテレカンやることもあれば、誰かに「夜中の10時くらいに出てもらわなあかん」というふうになったりもするような事もあった訳なんですけれども。
そういうような環境で仕事をしていると、どういうことが大変なのか、必要なのか、あるいは、どんな、実際に環境なのかというのをちょっとお話していきたいと思うんです。

たぶん、皆さん、一番気になるのは「そんなんだったら、もの凄い英語力が必要なんじゃないか」と思われるんちゃうんかな、と思うんですけれども、実際問題、私はそんなに英語、上手じゃないですよ。別に、帰国子女でもないですし、海外に留学していたわけでもないので。言うてみたら、メチャメチャ適当ですよ。ブロークンというか、「英語なんですか、これは」くらいの勢いなんですけれども、ただ、先ほど言いました通り、各国に1人くらいしか居ない訳ですよ。世界何カ国っていう所におりますので、よく考えたら『英語のネイティブ』の方が少ないんですよね。皆さん、母国語が「フランス語です」とか「ドイツ語です」とか「中国語です」とかね。なんか「フィンランド語です」みたいなやつもいますけれども。そうなってくると、もちろん英語も、皆さんそこそこ出来ますけれども、ヨーロッパ系の人は特にね。ただ別に、『英語ネイティブ』ではないんですよ。みんながそうだと逆に、お互い、英語に対して、やはりちょっと、若干「母国語ではない」というのがあるので、そもそも相手の話を聞こうとしますよ、ちゃんと。「おまえ、英語ヘタやな」とか、そんなことを言う人はいませんし、そういう事がそもそも仕事の本質ではないので、「何を言おうとしているのか」っていうのをちゃんと聞こうとしてくれるんですね。
文法の間違いがどうのとか、そんな、いかにも日本で「英語出来ます」みたいな人が絶対に突っ込みそうな所に突っ込んでくる事は絶対にないんですよ。「話がいかにまともか」というところしか聞いてこないので、ちゃんと論理立てて話したり、言いたいことをちゃんと伝えれば全然やっていけるというような環境下だった訳ですよ。

それが、前もお話したような『ダメダメ会社』になってくると、ちょっと、その辺が怪しい。怪しいというか、やっぱり英語をペラペラ・ペラペラ喋っているやつの方が「なにか、出世してるんちゃうの?」みたいな変な所があるわけですよ。それで、「おまえいったい何言いたいねん!」っていうような英語をペラペラ喋っていますけれども、「何言いたいのか全然わかりません」みたいな人ととかも、居ったりする訳なんですよ。こういう環境下になってくると、ホンマに『英語ネイティブ』の人は逆に自分にコンプレックスを持っているというか、なぜなら、例えば私とかだと、一応、日本語が母国語で、英語で仕事しながら中国に住んでたというか、仕事していたこともあるので、ある程度中国語も出来るわけですよ。他の国の人も、得にヨーロッパの人なんて、陸続きという事もあって、ドイツ語がネイティブなんだけど、フランス語も出来るし、なにかもう1個スペイン語もちょっと出来ます、みたいな人が結構いるんですね。2カ国語、3カ国は当たり前みたいな人が結構いるんですよ。そうなってくると、ある日アメリカの同僚が言うんですよね。「日々のコミュニケーションについてどう思うか」みたいなディスカッションをした時に、「自分は実際、英語しかできん」と。「みんなはいろんな言語ができて、しかも母国語ではない英語でコミュニケーションをとろうとしているけど、ホンマにすごい事やと思う」と。そういう事を言うアメリカ人に、結構、初めて会ったというのもあるんですけれども、「こういう(英語ネイティブではない人が大多数)環境下にいるとそういうふうに思うのか」というのも、ちょっとあったりもして、意外な感じではありましたよ。

そんな訳で、なかなか意外と言えば意外なんですけれども、そういうふうに、逆に英語しか出来ないことがコンプレックスになってしまうというようなケースもあったという事で、そんなような不思議な事も起こるんです。ちょっと今日は、そういった話をしていきたいなと思っております。では『techghost:テクたま』、始まります。

【本編】

グローバルな環境下で仕事をしている時、外国語力そのものもそうなんですけれども、お互いを思いやる気持ちみたいなものが出てくるんですよね。中国で仕事をした時の話なんですけれども、中国の人ってあまり海外に行く事ってないんですよ。やっぱり大陸でずっといる人というのは。もちろん留学する人もすごく多いんですけれども、そういうチャンスに恵まれなかった人というのは、プライベートで旅行に行くという事が、まだ難しい時代だったというのもあるんですね。今はそうでもないんですけれども。そうなってきますと、外国人というものに遭遇した事があまりない。あるいは、自分自身が外国人という立場になった事がない人が多いという事なんですよ。中国で仕事をしていた時に、外国人である私に対して、日本人というものに親切にしてくれる人は、どういう人なのかと言うと、ほぼ確実に『海外へ留学した事がある』あるいは『海外で仕事をした事がある』人なんですよ。そういう人達って、見た目からして服が垢抜けているっていうのもあるんですけれども、それ以上に自分自身が1度、全く言葉違う、文化も違う、しかも、例えば日本に来た事があるような中国の人だと、特に、やはり偏見みたいなものもすごい強いですから、そういう事を乗り越えてきているという人がいるんですよね。そうなってくると、逆に私の立場っていうものをすごい分かってくれるという所があるので、なんでしょうね。旅行するのもいいんですけれども、やはり、住んでみるというのも大事なんでしょうね、と、本当に思いますね。

よく日系企業の人は、中国に進出してきても、日本人はなんか、日本にいる時みたいに仕事をする、と。日本語で、日本人同士でだけで仕事をして、ただ場所が上海です、みたいな環境だった、と。今はたぶんそうでもないと思うんですけど。結構ローカルに入っていかないと無理っていうのもあるんですけれども、なかなか、日本みたいに仕事をするっていうんですけれども、そういうのだと、なかなかうまく打ち解けられないというのはあるのかなぁとは思いますよね、ちょっとね。そういう所はあると思います。

そういう、例えば外国語の力もそうですし、外国人だったり、異文化を受け入れるみたいな所を「どういうふうに克服していったらいいのか」みたいな所もあるんですけれども、これは1つは、『ものの考え方』みたいなのもあるんですよ。よく日本人とかだと、結論を先に言わなくて、回りくどい事をいうから「何言うてるか、わからへん」みたいな所があると思うんですけれども、それは本当に1つ、言える事ですよ。

これは私自身の経験でいきますと、そんなにたいしたことじゃないんですけれども、通訳と翻訳の学校に通った事があって、その時に「ある言語をある言語に置き換える」という時に、単に対訳じゃないんですよね。「Aという単語の翻訳の言葉はBです」みたいなやり方じゃなくて、そもそも、言語とか文化の中にある『ものの考え方』とか『概念』みたいなものを考慮した上で、言葉を考えていかなければいけないというのはある、という訳なんですよ。

一番わかりやすい例でいくと、虹の色は日本人は7色だと思っていますけれども、7色じゃない国があるんですよね。例えば『青』と『紫』というのに、あまり区別がない国がある。国というか、文化というか、言語というか。そうなってくると、日本人みたいに『青』『紫』というふうに、虹の色の7色のうちの2色が『青』と『紫』だと言った時に、その色の概念がない国に行っちゃうと、青も紫も同じ言葉で翻訳しなきゃいけない、と。なぜなら『そこに違いがないから』とかね。そういう事を頭の中で理解する事が出来た訳ですよ。そうなってくると、ただ単に受験英語みたいに、「この単語はこういう訳です」みたいなやり方じゃなくて、要は、『外国語をその外国のまま理解する』みたいな所だったりとか、「日本語でいう時には、ちょっと違う概念になるんやな」みたいな事を、心の何処かにおいておくだけでもだいぶ違うと思いますよ。

あと、なにか理論的な話みたいな所で行くと、例えばインドの人とかの英語がわかりにくいというのは、もちろん発音もあるんですけど、それ以上に、文の構成がすごいわかりにくいんですね。なんか、えらい『文学的』だったりとか、する訳ですよ。なんか、ちょっと『格好いい』言い回しとか、何かすごい『素敵な』と本人が思っているであろう事例を交えながら話すんで、すごいペラペラ・ペラペラ、しかも、ちょっと癖のある発音で喋るから「何言ってるか全然わからへん!」と。でも、これは私、自分自身の経験で、インド人の英語の発音がどうのこうのだから、わからへんとか、私自身の英語の力が足りないから理解出来ないのかと思ったら、全然そんなことなくって、『英語ネイティブ』の同僚も、「こいつ、何言ってるかわからへん」って言ってるので、そういう事じゃないんだな、と。

ものの言い方というか、考え方というか、それがそのまま外国語になって翻訳されて出てくるっていう事に、やっぱり問題があるのかなと思うんですね。例えば日本人が日本語の考え方で、「こうこう、こうで、こうなったから、ああで、それで、こうなんです」みたいな事を、そのまま英語に訳して言っても、たぶん、すごい伝わりにくいと思うんですね。なんか、ペラペラ、ペラペラ喋ってるけど、「結局なんやねん」みたいな話になることってあるんじゃないかなと思うのでね。その辺はなかなか、先ほどの通訳の話じゃないですけれども、そういう違いがあるんだなっていう事を頭でまず理解して、実践していけば、私は慣れてくるんじゃないかなぁと思います。

あとは異文化の教育ですよね。異文化について慣れていくというのは、どういう事なのかとか、そういう環境下で、チームを作っていくというのはどういうふうにたいへんなのかとか、あると思うんですけれども。

それでいくと1つ、前にいた会社で経験したトレーニングで、バンコクでトレーニングをやったんですね。年に1回、海外に集まる、海外のどこかに集まるんですけれども、それで1回、バンコクでみんなで集まった事があって、そこでトレーニングをしましょう、と。チームビルディングのトレーニングなんですけれども、指令を渡されるんですよ。色々な国のメンバー、色々な部署のメンバーが集まって「これをやりなさい」みたいな指令が渡されるんですけれども、指令は何かと言うと、タイの、「めちゃめちゃローカルなマーケットの市場に行って、下に書いてあるものを買ってこい」という指令なんですよ。ところが、その「買ってこい」というものが全部タイ語で書いてあるんですね。タイ語のネイティブは一応居なかったので、何書いてあるかわからない訳です。文字読めないし、発音も出来ないし、どうしていいかわからん、と。そういう状況の中で、みんなで協力し合って、辞書で調べるやつも出てくるけど、文字入力できないんでね、タイ語なんて。そんな、iPhoneをいくら持ってても。「どないすんねん!」という事で、しょうがないから現地の人に話しかけるしかないですよ。「これを欲しい」っていうのをまず伝えなきゃいけないんだけども、あまりにもローカルなマーケットすぎて、英語出来る人も、中国語出来る人も、フランス語出来る人も、全然、居るようで居ないというね。そんな環境下でやっていかな、あかんねんですけど、身振り・手振りで一生懸命、「これが欲しい」「これが欲しい」みたいなのを、みんなそうなってくると、自分の母国語で言い出すんですよね。私とかだと「これ!これ欲しい!これ欲しい!」みたいになって、なんかもう、めちゃくちゃな感じになってるんですけれども。

それでも段々通じてきて、「あそこの店行ったら売ってるよ」みたいなのをタイ語で言ってきたりとか、わからへんけど、「だぶん、そう言うてんのやろうな」みたいな感じの事をみんなが、こう、お互いに理解して。それ、よく考えたらすごい事ですよ。タイ語でやっているのを「たぶん、あそこの店に行けって言ってるのであろうな」という事を、日本人だったり、フランス人だったり、アメリカ人だったりが、みんな「そういう事を言ってるんだろうな、こいつは」という事を共通で理解するっていうことは、これは結構すごい事ですよ。そんな訳で、お店に行って、このタイ語の、紙に書いてあるのを見せて「これ、くれ!」って言ったら「OK!OK!」みたいな感じで、『タイガーバーム』が出てきたりとかする訳ですね。

そんなような事をやっていくと、そもそも全く知らない言語を使わなあかんという事とか、全然お互い違う国籍の人間と一緒に、1つの何かを達成しなきゃいけないという経験を出来たという事でね。こういうのは、すごい良いんじゃないかと思うんですよ。

よくありがちなのは、オフサイトミーティングというので、なんや「どこそこに合宿に行って、みんなで何とかの戦略について考えよう」とかね。「売り上げを倍増するにはどうしたらいいのか、チームに分かれてディスカッションだ」とかって言うんですけども、ちょっとね。あんまりにも、定型化しすぎてもアレかなと思うんで、こういう、たまには面白い事をやってみると、意外に人と人との繋がりみたいなのも出来ていいんじゃないかなぁ、とは思いますよ。そういう、本当にグローバルな環境というのは、よく考えたら日本でも出来る訳なんですよね。私だって、ずっと日本に居ますから。海外に住んだ事なんて、中国に行ったくらいですからね、本当に。そういう環境って、別に日本に住んで、日本に外資系で勤めていても全然、体験、経験できるものなんですけれども、そこから言える事って言うのは、一応日本で、分けたら『外資系です』『日系です』っていう括りにはなるんですけれども、たぶん、そういうまともな、なんでしょうね。グローバル化しているという所っていうのは、たぶん日系も外資系も(そういった分け方では)ないですよ。ただのグローバル企業っていうだけ。英語がどうだとか、英語力がどうだとか、TOEICの点数がどうしたとか、本社とかアジアの統括の外人がどうしたとか、部長がどうしたとか、そんな事言っているやつじゃ全然、やっぱりダメだと思うんですよ。『グローバル』とか、いちいち言ってるっていうのがね。『オワコン』っていうのは要はそういう事で、ちゃんとしている会社っていうのは、今時のまともな会社は、そんな、いちいち「俺の会社はグローバル企業です」とか言わないというか、そういうのも当たり前すぎて、いちいちね、当たり前すぎて、何というか「格好つけて言うことちゃいますよ」っていうね。逆に「言うてる方が恥ずかしいわ」みたいな所があるんじゃないかなぁ、と思うしだいでございます。

そんな訳で、特にテーマが何かある訳じゃないんですけれども、ちょっと私の経験をツラ・ツラ・ツラ・ツラとお話させて頂いたということで、まあ、いつものふざけた回とはちょっと、『ひと味違いますよ』ということでね。この辺にしとこうかなと、思っている訳でございます。

2013-11-20 | Posted in techghostNo Comments »