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【第024回】データベースを中心とした日本のIT業界の変遷について(全文テキストあり)

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LPI-Japan 池田さんに「日本のデータベース業界の変遷」について伺いました。

お品書き:

  • 日本の会社は競合対策が弱い
  • ファイルからデータベース、そしてRDBへ
  • Oracle7 Workgroup Serverとマーク・ベニオフの意外な関係
  • Microsoft SQL Serverとの戦いはマーケティングがカギとなった
  • 競争は技術の進歩を促進する

特定非営利活動法人エルピーアイジャパン(LPI-Japan)
http://www.lpi.or.jp/

池田さんブログ
http://blog.marketing.itmedia.co.jp/redcommet/

【オープニング】

長谷川: 皆さんこんにちは、長谷川です。『テック魂』第24回、本日のゲストは、池田さんです。

池田: 明けましておめでとうございます。

長谷川: おめでとうございます。

池田: LPI-Japanの理事をやっています池田です。

長谷川: 『オラクルの狂犬』と呼ばれた池田さんに本日、ご主演して頂いてですね、非常にありがたいなと(思っています)。

池田: 『狂犬』と言ってたの、たぶんMicrosoftの役員の人だと思うんで、オラクルの人には言われてないと思うんですけどね(笑)

長谷川: その池田さんにですね、本日はご出演頂いております。始めにですね、簡単に自己紹介みたいなものをお願いできるといいかなと思うんですけども。

池田: はい、そうですね、私自身は今、そう15年以上B to B、特にITですね。オラクルを始めとするデータベースのマーケティングなどを15年くらいやってきて、その前は実際はオラクルのサポートをやっていたという謎の時間があってですね。

長谷川: なるほど。

池田: オラクルのERPを売っていたとかいう不思議な時間もあるんですが、もともと、実は新卒でやってたのは生産管理のSE。プログラマー。COBOL(コボル)とかCODASYL(コダシル)型のデータベースをメインフレームで作り、デスマーチのような生産管理システムを何とか動かすっていうことをやりながら、そこからデータベース、RDBやって、Teradata(テラデータ)、オラクルみたいな。そういう流れですから、まあ、技術上がりのマーケッターということで、『闘うマーケッター』特に『競合対策大好きマーケッター』と呼んでくださいみたいな。

長谷川: なるほど。なるほど!!本日は、競合対策マーケッターの池田さんにご出演頂いております。この番組、オープニングトークみたいなことをですね、お話ししたいんですけども、何がいいかなとちょっと考えたんですが、『池田さんが今なにやってんの?』というお話をお聞かせ頂けるといいかな、と。先ほど、競合マーケッターという話があったんですけども、今どんなお仕事をされていますでしょうか。

池田: えっとですね、これからやろうとしている所なんですけど、日本企業が一番弱いのは、ITの利活用。ITを活用して、業務を強くしていくという所もあるんですけど、そのベースとしてもう1個足りない所は競合を見ることだと思っているんですね。元気な会社ってみんな競合対策をすごくしてる。Microsoft、オラクルそうだし、最近読んだのはユニクロのトップが「やっぱり競合を見ないから日本の会社はダメなんだ」って。

長谷川: なるほど。

池田: あの柳井さんが何かで書いてるのを見て、「ああ、そうだよね」と思って、競合をどう見ていくかっていうのを見た上で自社をどうしていくか。さらには、それに対してどういう戦略をやっていくか、ということを技術面とか組織体制の面からね、やっていくということをフォローしていきたいなと思っているんですよ。

長谷川: なるほど。

池田: オラクルの時もずっと、「WarRoom」というとんでもない部署があって。

長谷川: それ、何年くらいですか?

池田: 「WarRoom」何年やったんだろう。3年くらいやったのかな。

長谷川: 何年から3年ですか?

池田: 95、6年から97、8年くらいまで。

長谷川: おお、僕がちょうど入社するぐらいまでですね。

池田: そうそうそうそう。今だから言えるけど、『オラクル Power Object』っていう製品が。

長谷川: OPO。

池田: OPO。もう、品質が悪くて、もう「マーケ嫌じゃ」って言われて、左遷じゃなくて、あの部署を替わるって、「やめるか、部署を替えてくれ」って人事の取締役にいったら、替えられたのがその『WarRoom』で。

長谷川: 秋田さんですよね。

池田: そうそう。秋田さんっていう人がいて、あとは、なんだ。今、サンブリッジやっている永山さんていう人が『WarRoom』のトップをやってて、「うちに来て頭を冷やせ」って言われたんですよ。

長谷川: なるほど。その『WarRoom』でやってたようなことっていうのをやってたんですね。

池田: そうですね。『WarRoom』でオラクルとして、TeradataとかDB2とかSQL Serverと比較していくとか、まあ、世の中の他社製品と比較して、それに対して自社製品をどう訴えていくかっていうのをやってきて・・そういうことをやってきた訳だけど、それをよその会社、要は他の会社さんで「同じようなノウハウが欲しい」と。で、やっぱり言っちゃあ悪いけど、負けた企業って「競合対策できてないじゃん」と。ロータス (Lotus)さんとか、インフォミックス(Informix)さんとか。あ、みんなIBMに買われてるんだけど、あとJustSystemsの『一太郎』負けたのも、僕はやっぱりMicrosoftのあの派手なやり方に負けたなぁっていうのが、すごく日本人として悔しいっていうのがあるから、日本の企業を強くしてあげたいなと思う訳ですね。

長谷川: すばらしい、すばらしいです。日本の企業を強くするための競合対策というのを、今なのか、今後なのかでやっていくというようなことで、やってらっしゃるというところですね。

池田: はい。

長谷川: で、本編の方に話を移していきたいと思っているんですけども、今日お話し頂くのは、データベースについて。

池田: そう、バリバリの1990年代から2000年前半くらいの、もう競合の嵐が吹き荒れる、Microsoftの役員に『狂犬の池田』と言われ、メチャクチャ戦いがあった楽しい世界ですよね、ほんとに。

長谷川: これまで日本の市場におけるデータベースっていうのが、どういう変遷をたどったか、と。そういうようなお話を本日は頂くというような流れでよろしいでしょうか。

池田: はい。

長谷川: はい、それでは『techghost:テクたま』始まります。

【本編】

長谷川: それで、池田さん。データベースのこれまでのお話って事なんですけども、どういったお話になりますか?

池田: うーん、やっぱり今、オラクルマスターって当たり前の資格になっちゃってるっていうのがあるじゃないですか。

長谷川: あ、そうなんですか?

池田: なんか20何万人もいるって話をなんか、オラクルの資料で見て、「日本にそんなにいるんだぁ」って思って、プログラマーとか開発してる人ってオラクルというかデータベースがあるの、当たり前になっていると思うんですけど。

長谷川: それはあると思いますね。

池田: で、僕が仕事始めた30年前くらいだと、データベースを使うかどうかっていう選択肢があって、要は、まず索引ファイルとか、それからなんか大域結合編成っていうような、ロールバックができるファイルがあったり、それからデータベースというのがあって、それをどう使うかっていう選択肢があったんだけど、今誰でも、猫も杓子もRDBみたいなね。そこは1つ、今現代の課題だなって思うんだけど、それで、なんでそうなってきてるかっていうこと考えた方がいいと思うんですよ。

長谷川: はい。

池田: 結局、30年前あったのは、データベースがやっぱりそんなに速度が出なくて遅かった、と。で、ファイルの方が単純で速い。

長谷川: なるほど、なるほど。

池田: で、マルチユーザーで使うならDBだけど、バッジ処理とか、少ない人数でシェアする場合だったらファイルの方がいいっていう感覚が、その、僕の頃だとメモリーが2MBですからね。メインメモリーが2MBのメインフレームですよ。これが3000万円とかしたわけ。たぶんね、ここにあるiPhoneよりね、俺が30年前いじってたメインフレームは性能が悪いわけよ。それが基幹業務が動いてたんだよって、ビックリしない?

長谷川: ビックリです。

池田: で、こんなさ、こんな。

長谷川: こんなって、見えないですよ。

池田: あ゙!! あのね、イメージとしてはドラム缶。ドラム缶とかロッカーみたいなやつが、640MBとかのハードディスクが転がってた訳ですよ。

長谷川: 640MBですか?

池田: MB!! GBとかじゃないのMB!!

長谷川: MB!!

池田: それでメモリーが2MBとか4MBでメインフレームっていうのがウン千万でひと部屋埋まってた世界でやってた訳。それであとは、バックアップはテープだよね。あの、そういう世界が30年くらい前は普通にあった訳ですよ。その時にやっぱ、DBってやっぱ、ハードが追いつかないから遅かったのが進化してきて、結局DBの方がひとまとまり。要はファイルが個別にあると、ファイルを1個ずつバックアップをとらなきゃいけない。要は、ファイルが全部のタイミングで同じ、その状態でとらなきゃいけないっていうのが結構めんどくさかった訳ですね。それもシステムを全部止めなきゃいけない。それがデータベースだと、テーブルっていう単位で全部まとめて入ってて、DBがバックアップのタイミングで、一貫性を確保してくれるっていうから、僕はDBが主流になってったっていうのは、80年代後半から始まった流れだと思うんです。それがついでに、UNIXをはじめとしたオープンになって、RDBっていう形でInformixが入り、オラクルが入り、Sybaseが入るっていう形ですね。

長谷川: なるほど。

池田: で、長谷川さんが入ったころはオラクルがナンバーワンだったと思うんだけど。

長谷川: はい、ナンバーワンでした、すでに。

池田: 俺が93年に日本オラクルに入った時って、まだまだオラクルはシェアが2番か3番。

長谷川: あ、そうなんですか?当時の1番ってどこだったんですか?

池田: 今IBMになっちゃってるけど、infomixっていう会社が、買われちゃったけどね、あって、infomixっていう日本法人ができてたんだけど、もともと、今は角川グループになった『アスキー』っていう、西和彦さんがやってた会社があって。

長谷川: はいはい、存じ上げてます。

池田: MSX作った、いろいろあって。やったねっていう会社です。俺、嫌いじゃないんだけど。あれも持ってるんだから。で、アスキーさんが実はinfomixの日本の総代理店をやってて、日本語化も全部やってた関係で、すごいよくできてたの、日本語版が。そういうのがあって、例えば今だったら、NECっていう会社はね、オラクルを日本で一番売ってる会社としてもう10年以上やってる訳だけど、93年くらいだとinfomixの方がよっぽど強くて、「日本オラクルです」ってNECに電話したら「日本オラクルってなんじゃあ!!」「infomixってDBは知ってるぞ!!」とか、そんな電話のやりとりをしたっていうのは、マジであった時代なのね。

長谷川: そんなこともあったんですね。

池田: だからinfomixが日本で強くて、あとから上陸した「アメリカでシェア、ナンバーワンのオラクルっていうのがあるぜ」「技術的には一番とんがってストアドプロシージャができるSybaseっていうのがあるぜ」。あの、俺が入った頃、Oracle 6だからストアドプロシージャが使えなかったんだよ!!

長谷川: あ!!すいません、存じ上げませんでした、それ。

池田: あのね、その頃Sybaseしかストアドプロシージャは使えなかったの、93年頃。Oracle 7が出てなかったの。

長谷川: マジですか?

池田: マジマジマジ!!

長谷川: 僕がもう入った時には、もう一番の安定版は8だったんですよ。

池田: Oracle 7が出てなかったの。

長谷川: ですし、一番安定版として使って他のは734でしたけど(笑)

池田: Oracle 7がね。なんかね、「オオカミ少年」って言われててね、「出す」って言われて、出荷が1年くらい遅れたのよ。その頃。それもひどいんだけど、それがまかり通ってて。

長谷川: IT業界にものどかな時代があったんですね。

池田: あった、あった!

長谷川: なるほど。

池田: そういうのがあって、「Sybaseの方がいいんじゃないか」って言われた時期も実はあったのよ。要は、ストアドプロシージャは「オラクルは口だけで出してこない」って言われて、でも実際、実はストアドプロシージャじゃなくてもオラクルはその頃からPL/SQLをブロックで送れるっていう仕組みがあって。

長谷川: それはRPC(リモートプロシージャコール)みたいな感じですか?

池田: そうじゃなくて、PL/SQLをCとかCOBOLで書いとくじゃない?言語ログ側からPL/SQLをポンッと1回送ったら、そのあとはストアドプロシージャと同じ動きをしてって、結果だけ返ってくるから。

長谷川: でも、それアーキテクチャ的におかしくないですか?それ?

池田: だって、それしかできなかったんだもん、オラクルは。

長谷川: それって、同じメモリー空間上で実行されるんですよね。

池田: うん、いやでも、まあ、それができたんだからさ。

長谷川: すごい危ないと思う。

池田: いやいや。それをストアドプロシージャで登録できるようにしただけであって、別にOracle 6でも別に悪くなかったんだけど、って言ういい訳はそのくらいにしときますんで。で、Oracle 7が出て、やっぱりあの時、オラクルの佐野さんとかすごかったよね。今思うと。いい意味でのとんがった人がいて、「なんだよ、犬の社員」とかさ。すごいよね。犬を正社員にするって、あの感覚。あれはすごいなって今でも思ってて。

長谷川: おかげでたくさんテレビに出れましたからね。

池田: いや、だって、犬を社員に、正社員にした、あれ3~40万、たぶんペットショップに払ってるだけでね。あれだけ、こう、無料の広報ができる。それが今、世代なんだっけ、キャンディーだっけ。

長谷川: え?わかんない?ハイディー?ハイディーじゃないですね。

池田: ハイディーは死んでる。

長谷川: えっと、ウェンディー?

池田: ウェンディーだっけ?

長谷川: あれ?違いましたっけ?わかんないです。

池田: あの、広報の玉川さんに聞いた方が速いくらいだけど。

長谷川: ちょっとお太りになったってFacebookに書いてありました。

池田: まあ、そういう流れでさ、やっぱりすごいなーとか、あと「Oracle Open World」を10億かけてやってたりね。あれもすごかったよ。

長谷川: そうですね。小室哲哉が歌うたった時じゃないですか?

池田: そうそう。

長谷川: そうですよね。

池田: あれもだって、最初横浜のパシフィコでやった時に、僕はちょうど最初の結婚をしてて、子どもが生まれて、パシフィコ横浜に泊まってて、朝起きたら・・。あれ1回目か2回目の時、阪神大震災。

長谷川: 阪神大震災の時、僕、大学生でしたから。

池田: ああ。

長谷川: ちょっとわかんないんですけど。

池田: なんか、朝起きたらヘリコプターが飛んでて、どんどんどんどん死亡者数が増えていくっていう中で、すごいドキドキしながら会場に行ったのを覚えてて、Lally Ellisonが基調講演で、その場で、1000万かな。寄付するって話をして、その前の年にカリフォルニアの大地震があって、やっぱり高速道路がぶっ壊れたりするのと同じ図が流れてたからね。あれの時だったかな。すごいインパクトがありますよね。

長谷川: なるほど。

池田: ああいうのを通してオラクルがシェアナンバーワンになっていった時代があって、やっぱりUNIXの世界でオラクルはナンバーワンになれたと思うんですよ。要は、選考したinfomixを打ち倒し、僕はSybaseはもっとがんばれたと思うんだけど。

長谷川: Sybaseってあの、自動車会社とかにたくさん入ってましたよね。

池田: あとは金融のディーリング系、すごい強かったんですよね。ニューヨークのディーリング系なんかで実績があって、一時期CTCさん、すごいSybaseやってて。

長谷川: あれ、Sybaseって僕が入った時のイメージでは、分散データベースっていうかですね。分散データベースって今言うと変なんですけど、昔でいう『Oracle Lite』的な感じの使い方みたいなのが。

池田: それはSQL Anywhereだよね。どっちかっていうとね。あとから買い取ったっていう。あの、モバイルDBの方、いってるよね。

長谷川: もう、Sybaseってそこしか生き残る道はなかった可能性だったんですよ

池田: ああ、最後の方はね。最初の方はそうではなくて。

長谷川: 違うんですね。

池田: ストアドプロシージャで真っ向勝負だったのよ。金融のディーリング系の、情報系とか入ってったんだけど、なんかね、日本はちょっとしくじったのもやっぱりあったね。

長谷川: はあ。

池田: だって、例えばアメリカでWindows NT版とか、ネットWeb版って、オラクルより先に出してるんだけど、日本語版を出す時にSybaseとかinfomixって、日本語版を出すのがすごい遅れたんですよ。

長谷川: なるほど。

池田: 理由はすごい明白で、これは日本オラクルの中でも起きたことなんだけど、営業がすごい嫌がるのよ。それまで、例えばUNIX版のOracleっていうのは、300万円くらい、エントリー価格する訳ですよ。8ユーザー300万円也~。それがね。ネットWeb版とかWindows NT版のOracleになると100万くらいになっちゃう。値段が、同じものを売ってるのに3分の1になるって、営業部隊がすごい嫌がるんですよ。日本オラクルでもすごい嫌がった話があったんだけど、俺はその時にやっぱ、佐野力って偉いなと思ったのは、あの人が「そんなこと言ってたら、あとあと負けるんだ」って言い切ったんですよ。「PC製品をなめてはいかん!!」ってあの人は言い切った。佐野力はIBMで、IBM PCを日本でやる時にPC9801にボロ負けした訳、NECに。

長谷川: なるほど。

池田: だからIBMの時に、パソコンのビジネスを日本IBMが負けたっていう経験を彼はしてたから、ローエンドとかパソコンとか、新しいローエンドの安いものをバカにするとあとでひどい目に遭うぞって、彼はIBM時代に経験してたから、同じ轍(てつ)を踏んじゃいけないと言って、アメリカが出したらすぐに出すって決めたの。だって、Windows NT版のOracle Workgroup Serverって、アメリカより先なんだよ。

長谷川: そうなんですか?

池田: 95年かなんかに出した時に、日本で先に出したんだけど、あれアメリカでβなやつを日本で正式版で売ったから。

長谷川: ここ、カットしませんよ!!

池田: いや、いいですよ!!だって、これ事実だもん!!製品としては悪くなくて、アメリカでOracleの7.0版っていうWorkgroup Serverがβで出てたやつを、「日本で売りたい」って言って、今・・。それを向こうで仕切ってたのが彼ですよ。セールスフォース(Salesforce)のMarc Benioff。Ellisonの子飼いの一番の懐刀って言われたMarc BenioffがWorkgroup Server2000って言うことを言って、やってたのね。ただアメリカでも価格差があるから、営業系から反論があってβで止まってたの。で、それを佐野さんがMarc Benioffと赤と青の間だか、どっかで話をして、「やろう」って言って、日本では正式版で7.0をだしたんだよ。アメリカは、オラクルワークルサーバーが出たのは、実は7.1から。

長谷川: 7.1。

池田: 7.1の方が枯れてるから。日本はそれを先行して7.0から出したの。こんなことをできる日本オラクルってすげえぜって思ってた訳よ。

長谷川: 佐野さんの力ですよね。

池田: 佐野マジック。おもしろかったよ、90年代のオラクルって、そういう世界だね。

長谷川: はい。

池田: で、そういうのが効を奏して、逆に言うと、infomixとかSybaseの日本法人はそこまでできなかったんだと思うんですよ。

長谷川: そうですね。

池田: やっぱり売り上げと利益を考えたら、UNIX版をやってた方がやっぱり、短期的にはよかったし、短期的に数字を要求されるって言うのは、やっぱり日本のブランチの社長だから、そこはかわいそうだったなと思うね。

長谷川: すごいまじめだったんですね。

池田: うん。

長谷川: 佐野さんみたいに突き抜けてなかったんだと思いますね。

池田: まあ、変わった人多かったからね。俺も含めてだけど。

長谷川: まあ、データベースの話からオラクルの話になってしまったので、この辺で、データベースの話に戻したいんですけど、まあ、90年代を、オラクルはじめとしてinfomixとかSybaseとか、というところで戦ってたと思うんですけども、そこからPCのデータベースの製品っていうのは、マーケットとして認知し始めると、今度SQL Serverとの戦いみたいな所っていうのは・・。

池田: Microsoftさんですよね。

長谷川: はい。来るんですけど、その辺は90年代後半くらいからですかね?

池田: そうですね。90年代後半ですね。あのね、技術的に言うと、結局Sybaseのパクリじゃんって言うと、今は怒られるかも。いや、初期は確実にパクリだったからさ。

長谷川: たぶんエンジニアが、エンジニアが流れたんだと思うんですけど。

池田: だから、基本は、だってソースコードをそのまま持って行ってるから、今の・・SQL Serverの7くらいまではたぶん、Sybaseのしっぽがすごい残ってたと思うんですよ。で、今のバージョンくらいになるとだいぶ変わってると思うんだけど、昔。

長谷川: 今はもうだいぶ違いますよ。たぶん。

池田: 昔はだって、ページロックとかエスカレーションが結構あって。

長谷川: 今でもページロックじゃないですか。

池田: うん、今もそうですね。

長谷川: 必要性を認めてないんですよね、Microsoft自体は。なんかそんな気がします。

池田: そう。Lowレベルロックがいるかいらないかっていうのは、考え方によるからね。

長谷川: でも、そんなことを言ってた西脇さん、今、Microsoftですからね。

池田: でも、オラクルからMSいった人多いし、オラクルから今はSalesforceに行ってる人も多いし。まあ、別にいいんじゃないの?だって、西海岸見たらさ、オラクルにいた時に、だって、オラクルのカウンターの向こうを見たらさ、元infomixとか、元Sybaseとかさ。結構あっちって、競合の会社でもゴロゴロ回るじゃない。で、技術力があって、できるなら別にいいじゃんっていうのがあって、俺ああいう文化は大事だと思うんだよね。

長谷川: うん、すごく大事だと思います。

池田: もう、日本もNECの人が日立行ったり、富士通行ったり、こうすればいいんだけど、そういう文化がないからさ。

長谷川: ないですね。

池田: 硬直しちゃうんだよね、とか思ったりするのよね。で、データベースのアーキテクチャー的な問題じゃなくて、Microsoftとの戦いっていうのが一番ハードだなって思ったのは、エンロールメント力というか、勧誘力というか、パートナービジネスの上手さ。結局、日本オラクルは一生懸命パートナービジネス、ISVをやってきて、そこはinfomixとかSybaseよりは上手だったっていう自負がある訳ですよ。「業務パッケージ作るんなら、OracleでDB作りましょうよ」っていうのをずっとやってこれたっていう事は自負してたんだけど、でもそこにMicrosoftのSQL Serverが来た時に、SQL Serverじゃないんだよね。今でいうと、「Visual Studio使うんだったらSQL Serverにしちゃおうよ」みたいなさ。

長谷川: なるほど。

池田: Visual Studioや、Visual Basicとか、Visual Cを使うんだったらね。SQL Server、タダで開発キット入ってるからこのまま繋げちゃいましょうみたいな、できて、ちょっと小さいベンチャーというか企業が、ちょっとプロトタイプ作るとさ、無料で付いてるんだから、VBで作ったし、じゃあそのまま、Oracleの評価版を落とすよりはさ、みたいので作っちゃう訳よ。そうすると、サーティファイドSQL Serverになっ中アわけ。あれはね、開発するキットが、今だから言うけど、やっぱオラクル弱かったじゃん。

長谷川: えーっと、Developer2000ですか。

池田: Developer2000とか、Designer2000とか。やっぱりオラクルははっきり言って、開発ツールは弱かった訳ですよ。そうするとMSの開発ツールは強い訳ですよ。開発者がみんなそっちに行って「ひぃぃ」って言うところがあって、そこがたいへんだったね。あとはMSはやっぱり、競合資料がすごかったね。Microsoftが競合資料を配ると1週間以内にだいたいオラクルの手に入ってたね。たぶんこっちが配ったのも1週間以内に向こうの手に入ってると思うんだよ。

長谷川: なるほど。

池田: 結局情報網があれば戻ってくるからさ、紙とかにしたら。だから漏れるのは前提で作ってるんだけど、ちゃんとしてるね。やっぱりinfomixとかSybaseは、競合資料がぬるい。

長谷川: なるほど。

池田: 穴だらけ。敵ながらアッパレだね、MSさんはね。

長谷川: ちゃんとやってたんですね。

池田: うん。日本がやってるかどうかはわからないけど、アメリカで作ったのを翻訳かもしれないけど、やっぱりそれが組織としてちゃんとしてる。どういうふうにカウンタークレームを作った資料を用意しておくかっていうのがあって、仕事上直接に関係ないけど、Wordが一太郎をたたく資料とか、Excelがロータスをたたく資料とかを見てきてるんだけど、やっぱりMSはすごいしっかりしてる。で、申し訳ないけど、JUSTさんとか、ロータスさんの、負けた会社はそこが弱い。ネット業界も同じだよね。だからそこが、技術よりはマーケティングなのかなっていうところ。技術も最低限の技術は必要だけど、マーケティングないとやっぱり勝てないっていうのを、MSさんを見てて、ほんとに思ったね。

長谷川: なるほど、なるほど。

池田: ただ、そこで1つ、開発ツールの話でいうと、そういうのが2000年代後半に来たんだけど、そこで究極の手段をとったのが僕はIBMだと思うんですよ。

長谷川: それは。

池田: Eclipse。

長谷川: あー、フリーの。

池田: フリーの。要は、IBMは開発ツールで、Microsoftに勝てるわきゃあない、と。じゃあ、Javaの開発の環境を、IDをタダで出しちゃえって、Eclipseだってやったら、Java系の開発が増えて、「いや、俺、WebSphereでもうけるから」みたいなさ、あのスキームは上手だよね。

長谷川: それは横綱相撲ですね。

池田: でもIBMってそれまでは、どっちかっていうと、そんなに上手じゃなかったんだけど、Eclipse配っておいて、その時に作るんだったら、ApacheベースのWebSphere使いませんかってもっていったあのビジネスは、ちょうど2000年前後だと思うんだけど、うまくいったなと思ってきて、あそこから色々オープンソース系のものが出てきたりしてるんだけど。流れとしては商用のUNIX系の世界っていうのはやっぱり、ベンダロックインだったと思うんですよ、なんのかんの言って。それがWindowsになって、Microsoftの手の上で競争してる。Microsoftと競合しない製品を出してると、ベンダロックインがないんだけど、Microsoftと競合するととんでもない目に遭う。JUST、ロータス、オラクルみないな。オラクルにいて、「よくオラクル生き残ってるな」と思うんだけど、頑張ってるよねってなるんだけど、それが、あのまま2000年くらいにLinuxっていうベースが出なくて、Windows Serverの一人勝ちだと、今どうなってるんだろうと思うと怖いよね。

長谷川: そうですね。やっぱり、でもWindowsエリアはやっぱり、勝てなかったんじゃないかなって僕思いますね。

池田: で、やっぱり僕が2000年にミラクル・リナックスって会社を作って、オラクルを辞める時くらいだと、Linuxが来なかったら、たぶん、Windowsが、UNIXはたぶん滅びていったと思うんですよ。あんなUXだ、Solarisだ、AIXだって競争したら絶対勝てなくて、ほっといたらWindowsの一人勝ちになってとんでもない世界になったんだけど、「リーナス・トーバルズ偉いぜ」って、やっぱり思う訳ですよね。

長谷川: 第三勢力みたいなものっていうのが台頭してきて、そういうものを信奉する人たちがいて、そういうのを信奉する人たちっていうのは、それこそベンダーロックインというのを嫌がる。自分たちの意思で物事を選択していきたいっていう人たちがLinuxっていうのを、選んだんじゃないかなっていうふうに、ちょっと思うんですけどね。

池田: やっぱり俺はアメリカってすごいなって思うのは、選択できるような自由を持とう、持とうとする動きがあって、自分自身もオラクルにいた時に、Windows NTの一人勝ちはやっぱり阻止したいから、OS2にてこ入れしようとしたり、Netwareにてこ入れしようとしたんだけど、ことごとく失敗して。だってオーナーじゃないからね。日本のOS2の人たち、IBMさんだったり、Netwareの日本の法人に行ったりしたんだけど、いま一歩だった時に、Linuxっていう第三勢力がやっぱ、そこでガッと伸びてくれたのはほんとによかったなと思うんだよね。

長谷川: 以前、砂金っていう僕の同期に、こちらの番組に出て頂いた時にもですね。彼が言ってたんですけど、Microsoftは昔とスタンスが違って今やオープンソースのエリアにおいても、支援をしたりとかして、生態系のバラエティーを増やすことあるいは維持することというのに、すごく注力してます。そのバラエティーを増やす事っていうのが、ひいてはIT業界全体の活性化に繋がるものだということを理解してるMicrosoftというのは、結構大きなものを背負っている会社なんだな、Microsoftってすばらしい会社だなって僕は思ったんですよ。

池田: 俺、Microsoftって大好きだよ、大嫌いだけど(笑)いや、俺、Appleも大好きだけど、大嫌いだし。やっぱりいいところと悪いところがあるじゃん。Microsoftも全部自分でこう、クローズにしようとする時期があったり、プロダクトによってやるからそこはすごい気に入らないんだけど、MSがあったからソフトが商用化されたと思うんですよ。パッケージソフトをお金を払って買いましょうっていう文化をMSはやっぱり作ってきたっていうのは、僕らはそれでお金をもらって、少なくともソフトで金をもらっているっていうビジネスができたのは、MS。俺はよくやったなって思ってるからそこはすごくリスペクトしてるし、MSの人たちって、やっぱり優秀だと思ってるんだよね。で、さっき言ったようにOSSに関しても、MSはすごく、今、リスペクトしてると思うんで、私自身は今、非常に危惧してるのは、GPLの先だよね。Linuxも今、GPLのバージョン2で止まってたりする。そういう世界から見た時に、選択肢を減らすようなものは、僕はやっぱり、すべてが敵だと思ってるので。

長谷川: オラクルがMysqlのバージョンアップをしないっていう発表したのはどうですか。

池田: でも、Maria DBっていう報告があるからいいんじゃないの。

長谷川: はい、そろそろ軽くまとめておきたいんですが。

池田: まとめとしては、90年代、DBがはやったのは、競争があっておもしろかったって事だよね。

長谷川: なるほど。

池田: いくつかの商用製品が競争することによって、やっぱり進歩がすごい速いわけですよ。僕なんか、高校くらいの学生くらいだと、ビデオデッキがそうだった。ベータ対VHS。知らない?生まれてないか?ってそんなことないか。

長谷川: 生まれてますよ、もちろん。

池田: でも、ああいう時ってさ、こっちがやって、こっちを、それを元にやるからすごい速く技術が上がっていくんで、DBもそういう感じがやっぱりあったんだよね。それがちょっと2000年くらいで、停滞しちゃってるから、またこれが2013年、今年どう、今後はじけていくかってのが楽しみですよね。

長谷川: データベースっていう事を一言とってもたくさんの選択肢が、RDB以外にも、いろんな選択肢がある時代なので、実は、IT業界、すごく盛り上がってる時代だと思うんですね。なので、この時代にときめきを持って生きていただきたいなっと。

池田: そうだよ。ワクワクしたいよね。

長谷川: 2000年代、申し訳ないですけど、IT業界は沈んでたと思います。

池田: ああ、ちょっとね。ちょっと停滞してたよね。

長谷川: てか、2010年代になってから、オープンソースのエリア、あるいは大手ベンダー、Googleとかが出すフリーのエリアとかのデータベースとかほかのミドルウエアでもいいんですけど、そういったものと商用のものが、ほぼ、並ぶことができる時代になってきてるので、商用 対 無償みたいなもののエリアで戦えれば、もっとIT業界、おもしろいものになってくるんじゃないかなと思うんです。

池田: ですよね。

長谷川: それをね、そのためにコツコツとした1つの知識ベースと、明日を夢見る気持ちを持って進んで頂ければと思います。

池田: はい。

長谷川: 本日、このくらいでよろしいでしょうか。

池田: はい。

長谷川: ありがとうございました。

2013-01-09 | Posted in techghostNo Comments »