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【第011回】アメリカで働き始めるということについて(全文テキストあり)

Pixar gate


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Pixar Animation Studiosの手島さんとアメリカで働き始めるということについて(ピクサー社の転職のきっかけ、プロセスについて)お聞きしました。

お品書き:

  • 転職のチャンスはまず人に会うこと
  • 英語の壁はスキルで超える
  • アメリカでは設計だけする人はいない
  • PMとは部活のマネージャ
  • ビザ(H-1B)取得は閑散期を狙え
  • アメリカ(西海岸)で働くということの魅力
  • まずは断捨離して身軽になる

シーグラフ
http://www.siggraph.org/

ギャラリー
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.387955651272547.86008.128520823882699&type=3

【オープニング】

長谷川 :皆さん、こんにちは。ピープルデザインの長谷川です。『テックたましい』第11回、本日のゲストは、手島さんです。

手島:はい、手島です。よろしくお願いします。

長谷川:手島さん、簡単に自己紹介みたいなものをお願いできますでしょうか。

手島:はい、手島孝人と申します。今はPixar Animation StudiosでStudio Tools Departmentという部門で映画製作用のソフトウェアを作っています。

長谷川:ということなので、実は今回の収録はサンフランシスコまで来ちゃいました。

手島:はい、どうも。ようこそいらっしゃいました。

長谷川:ありがとうございます。Pixarという会社自体、名前は皆さん知っていると思うんですけども、それがサンフランシスコにある会社で(というところまで)、知っている方もいらっしゃるかもしれないんですけども、なかなか中が見えない、会社だと思うんですけどもね。すごくセキュリティーが厳しくて。

手島:そうですね。

長谷川:ゲートもなかなか入れない(笑)

手島:ま、たぶん、オープンにしちゃうとね。すごい、いっぱい来ちゃうんで、単にそれだけの理由だと思いますけど。

長谷川:そうですね。ものすごくかっこいい建物になっていて、余裕を感じるような作りなんですよね、全体として。なんか楽しく、楽しくという意図も、こう、その人が集中できる環境を作ってくれているような。

手島:そうですね。あと、やっぱ、何よりもコミュニケーションを大事にする会社だということで、なるべく、人と人が会うように出来ているらしいんですよね。

長谷川:そうなんですか。

手島:先ほど、ちょっと長谷川さんを案内させて頂いて、個人個人のブースは個室みたいになっているんですけど、なるべくin personで話ができるように、カフェとかも会社の真ん中にあったり、もう有名な話なんですけど、トイレも真ん中にあって、何をするにもここにまず出てくるという。その時にいろんな人と出会って、「最近、あれはどうなったの」みたいなね、話が気軽にできるようになっているんだと思います。

長谷川:そういうのがきっかけになって、最終的には生産性が上がるというところに繋がるんですよね。

手島:そうですね。やっぱり、ちょっと顔を見て言うとね、言いやすいこともいっぱいありますし。

長谷川:リアル・ソーシャルな世界ですか。

手島:そうそう、そうですよね。やっぱ、大きい会社なので、知らない人ばっかりなんですよ。だからもう、お昼ご飯の度に自己紹介して、「俺は、どこそこの、何々です」みたいな「よろしく」みたいな感じで。

長谷川:今でも、そういう事ってあるんですか。

手島:そうですね。僕も本当に、全然まだまだ、知らない人ばっかりですから。

長谷川:そっかあ。まあ、でもここだけで1000人でしたっけ。

手島:そうですね。

長谷川:すごいシャレオツなオフィスなので、もし、来られる機会がある人はぜひ来てみてください。

手島:ああ、もう、是非、長谷川さん経由でコンタクトを頂ければ。

長谷川:それ言っちゃうとみんな来ますよ。

手島:サンフランシスコまで来る人はね、あまりいないかもしれないですけど。

長谷川:まあ、あんまりいないですよね。

手島:なにかコンベンションとかで来たら是非。

長谷川:ITな感じの方は、たくさんいろんなイベント、今週もオラクルのイベントをやっていたりとかしますので、その折につけ、外から眺めることはいくらでもできますので。

手島:いや、もう、是非来てください。(笑)

長谷川:わかりました。そんな手島さんなんですが、本日の本編の方でお話しいただく内容なんですけれども、手島さん、日本の会社でお仕事されていたのが、いきなりPixarに入って、お仕事をしました、よね。それも最後はどこでしたか、福岡ですよね。

手島:そうですね。福岡でゲームを作ってましたね。

長谷川:福岡の会社で働いていた方がいきなりアメリカにやってくる、と。それはどういった経路を辿るとか、どういったプロセスがあったのかという話。アメリカに就職するっていう事の一例としてお話を伺うような感じで、それでよろしいでしょうか。

手島:いきましょう。

長谷川:それでは、本編、始まります。

手島:はい。

【本編】

長谷川:日本でどういったお仕事をされてたのかっていう所からお話をさせて頂けるといいかな、と。

手島:そうですね、簡単に。まあ、アメリカに来たのは去年なんですけど、去年まではずっと日本のゲーム会社でエンジニアとかプログラマーをやってたんですね。もう15年くらいですかね。ずっとやってました。最初は。

長谷川:あそこの会社に15年いらっしゃったんですか。

手島:いやいや、最初はナムコという会社でアーケードゲームを、ゲームセンターにあるものを作っていたんですよ。そのあと、プレイステーションを作る会社ですね。

長谷川:まあ、どこにいたか言っても言わなくてもいいんですけど(笑)、すごく皆さんが知っているゲームを作ってた方です。

手島:そうですね。車のドライブシュミレーションゲームみたいな。

長谷川:それで、もともとゲームを作ってらっしゃったってことなんですよね。

手島:はい、ですけど、ゲームのエンジニアっていろんな種類があって、ゲームの面白いところ。なんていうんですかね、ゲームそのものを作っていれば、物理シュミレーションを作っている人もいるし。ただ、僕はその中でもCGのエンジニアだったので、コンピューターグラフィックスの専門だったんですよ。実は大学の時からサークルでCGそのソフトを作っていたこともあって、最初にナムコに入った時もCGのエンジニアとして入ったんですよ。そのあと、ずっとゲーム業界に長くなったんですけど、PixarももちろんCG の映像を作っている会社なので、まったく関係がないわけではなくて、僕からするとすごい自然な流れで。

長谷川:ゲームの世界でCGを作っていました、と。その繋がりがあってPixarでもCGの。CGそのものを作ってるって言うと、僕のイメージだとプラットホームを作っているような感じなんですけど。

手島:そうです。CGを作る映像制作のためのソフトを作っているんで、ちょっと回りくどいんですけど。Pixarには、そのソフトを使って『トイストーリー』とか『カーズ』とかいう映画を作るテクニカル・アーティストの人たちがいるんですが、その人達が使う社内用のソフトを作ってるんですね。

長谷川:先ほど聞いたんですけども、Pixarという会社は使っているソフトウェアが全部内製で作られていると。

手島:そうですね。一部コマーシャルソフトも使っているんですけども、ほとんどインハウスのツールですね。

長谷川:それは何かこだわりなんですかね。

手島:こだわりと言うか、そうですね。歴史的な経緯で、Pixarはやっぱり最初にCGの映画を作った会社じゃないですか。その時はもちろんそんなソフトはなかったわけですよね。だから、何もかも自分たちで作らなきゃいけない。そういう伝統がずっとあって、新しい映像を作るためには、新しいソフトウェアを使わないと、お互いの相互作用ですよね。テクノロジーとパート、そういう意味でテクノロジーの開発そのものにもすごい重点的に力を入れているという会社なんだと思います。

長谷川:それは、すごい面白い話ですね。最新の武器を持たないと、面白いものは作れないだろうと。

手島:そうだと思うんですよね、実際。

長谷川:だから、内製にこだわるんですね。

手島:それはありますね。

長谷川:Pixarはオンリーワンのものを作っていくような感じがしますね。

手島:そうですね。ストーリーに関しても、必ず内製のストーリーでしか作らないですし。

長谷川:すごいな。脚本家から持ってくる仕事なんて、じゃあ、一切ないですよね。

手島:ないですね。だから本当に僕の同僚が言ってましたけど、映画に命を懸けている人たちがいっぱいいるので。そういう、モチベーションの高い社員で溢れている会社だと思いますね。

長谷川:すごい。ちょっとPixarの話になっちゃったんですけども、また置いておいてですね、すいません。日本で働いているところから、いきなりアメリカに来てしまうというのは、タイミングがあったりしたりしないと。

手島:これはもう、本当に難しいですね。

長谷川:どういった感じの経緯を踏んだのかというのをお聞かせ頂きたいんですけど。

手島:本当に僕はラッキーだったんですけど、実はもう、念入りに準備をしてアメリカに就職したという訳じゃないんですよ。

長谷川:国を飛び越えるのに、ぱっと(来ちゃった)?(笑)

手島:いや、これは本当にラッキーだったんですけど、昨年2011年の4月にずっと東京に通ってたんですけど、福岡に支社を作ることになって、ゲーム会社ですね。福岡に転勤になったんですね。その時に色々、引っ越しとかをして。ちょっと、引っ越しって楽しいなとか思って。いろいろ身軽になるじゃないですか、いらない荷物を整理したりして、すごいすっきりした気持ちで新生活を送ってたんですけど、8月のシーグラフっていうコンベンションですね。それがバンクーバーであったんですよ。それは毎年やっているCG業界の一大イベントなんですね、オラクルの一大イベントみたいな感じですけど、それに行ってですね。バンクーバーに行った時に、僕、長いことCG関係の仕事をしていたので、CGの会社の知り合いは結構多かったんですよ。その知り合いの中の一人に、「Pixarはちょうど今、エンジニアを募集してるよ」と。「特に最近は映像会社も、ゲーム系のリアルタイムの技術に詳しいエンジニアを探しているらしいよ」という話を聞かれてですね。「そうなんですか。何か面白そうですね」と思って。不思議なんですよね。昔、ゲームのCGって映画のCGをずっと追いかけていた訳なんですよ。映画のCGはどんどん、『スターウォーズ』とかエレムのビジュアルエフェクトがすごいというので、それを真似するように来たんですけど、最近はちょっと逆向きに。映画の製作ツールのためにゲーム制作のノウハウを欲しがっているという話を聞いたので、なんか面白そうですねと、ちょっと紹介してもらって、今の部署のVice Presidentの人とお話しすることができたんですよ。そのシーグラフの時の話は30分くらいの話だったんですけど、Pixarが今、どういう分野でソフトウェア・エンジニアを欲しがっているかというのを聞いて、面白そうですね。僕結構できますよ、そういうのみたいな話になって。(笑)

長谷川:しかも直接ですか。VPと。

手島:そうそう、VPと直接話して。「そうなんだ、じゃあ、ちょっと面接する?」とかいう感じになって。一回帰ってきて、また電話で何回かやり取りして、9月の、ちょうど一年前くらいですね。9月の末にこちらに来て、今度はもう、すごい大変なインタビューをしたんですよね。あの、同じ部署の人たちと。

長谷川:なるほど、なるほど。全員OKでないとダメとか、そういう感じのがあるんですかね。

手島:どうなんでしょうね、僕も採用プロセスをまだよく知らないんですけど、その時は本当に20人くらいと面接、一日中やっていましたね。

長谷川:20人とですか。何日で。

手島:2人ずつ、30分ずつ、2人ずつみたいな感じで。

長谷川:それでも10セッションあるわけですね。

手島:本当に大変でした。しかも英語じゃないですか、もちろん。僕そんなに英語うまくないんですよ。海外留学経験とかないしね。

長谷川:英語出来なかったらまずVice Presidentの時点で蹴られてると思うんですけど。

手島:これ、ラッキーだったんですけど、Studio Tools部門のVice Presidentってイタリア人で、彼も英語があんまりうまくないんですよ。

長谷川:ネイティブじゃないんですね。

手島:そうです。だから最初から「いや、僕も英語がうまくないけどさ」みたいな感じで、でもいいよね、通じ合えて了解だったら、スキルがあれば。採用がPixarはすごいインターナショナルな会社で、いろいろな国の人がいっぱいいるんですよね。

長谷川:なので多様性を受け入れるところがある。

手島:アメリカの、シリコンバレーはそうですからね。みんなまともな英語を話してないですしね。

長谷川:昨日(オラクル社の人から)聞いた感じでは、オラクルの本社にはほぼ、中国人かインド人しかいない、と(言ってました)。

手島:そうそう、またインド人の英語って難しいんですよね。まあ、いいんですけど。日本人の英語も難しいらしいので。

長谷川:なので、あんまり、ネイティブというか、いわゆるアメリカ人が実は少ない。

手島:そうそうそう。でね、みんな辛抱強く聞いてくれるんですよね。わけのわからない英語を。「こいつは何が言いたいんだろう」ということを一生懸命黙って聞いてくれるので、だから面接もやりやすかったですよ。

長谷川:なるほど。それはかなり、今からPixarに行きたいという人には良い情報ですね。

手島:そうそうそう。なんか、あれですよね。下手に言葉でうまく取り繕ってごまかしちゃうよりも、面接の会議室とかもホワイトボードとかがあるので、「俺はこういう事が言いたいんだ」というのを一生懸命ホワイトボードとかに書いたりとかすると、「なるほど、そうかあ」って。

長谷川:なるほど。その中で、例えばエンジニアじゃないですか。30分やるから、このコードを書いてみろとか。そういうのってあるんですか?

手島:もう、いろんなアスペクトでやりますね。例えば、偉い人のやるセッションではもう漠然とどんなことをやりたいのか。なぜアメリカに来て仕事をしようと思ったのかってことを聞かれるし、すごい同僚レベルの、現場レベルの人では、「ちょっとこういうClassを作りたいんだけど、デザインしてみて」とか言われて、「じゃあ、こういうクラス。C++。得意だよね」とか言われて、「まあ、まあ、できるけど」「じゃあ、ちょっと、そのC++のコードをここに書いてみよう」とか言われて。書きますよ、やっぱり。そこはやっぱりシリコンバレースタイルですよね。

長谷川:なるほど。

手島:ここはシリコンバレーじゃないですけど(笑)

長谷川:まあ、近いですからね。1時間はかからないのかな。その位ですかね、ここからだと。

手島:結構走りますよね。僕も、C++歴、長い、20年くらい書いてますけど、そんな、まず英語で「こういう事をしたいんだけどデザインしてみて」って言われて、そこでいきなりこれ書くのかよ、みたいな(笑)

長谷川:しかもホワイトボードですよね。ホワイトボードに。

手島:ちょっとやっぱり、そういうトレーニングは多少した方がよかったかなと、結構後悔しましたね。いあやあ、やばかったなあと。

長谷川:でも、書いて、アクセプトだった訳ですよね。

手島:もう、基本的にフレンドリー。ミスなくそこで答えられることよりも、どういうデザインパターンを持っているかみたいなことを知りたわけじゃないですか。文法的なことは、どうこうとかはさておき、まあ、よかったと思います。大変でしたけどね。

長谷川:いきなり、コードを書けとか言われたら普通のエンジニアはちょっとビビりますけどね。

手島:ねえ、ビビりますよね。まあ、でもね、幸いゲーム系のエンジニアは、もう15年働いていても現場でコードを書いてますから。いや、わからないですけどね。SIerとかだと、やっぱりちょっとコードから離れちゃったりする場合もありますよね。

長谷川:人によりますけれども、プログラマーという所をやっていく人もいますし、ただプログラマーというものが単価がすごく安く見られている。

手島:そこがね、アメリカは全然違うんですね。アメリカはね、コードが書ける人が一番給料が出ますからね。

長谷川:求められている水準が多分違うとは思うんですけどね。だからすごいコードを書く人がいれば話は別なんですけど。

手島:そこが不思議ですよね。アメリカでね、設計だけする人っていないですね。マネジメントだけする人はいるんですよ、これはすごい。プロジェクトマネージャーというのがやっぱりついているんですけど、彼らはコードを書かないし、設計もしないんだけど、プロジェクトマネージメントは本当にスペシャル、スペシャリティーがあって、あらゆることをするんですよ。日本のPMってちょっと、なんかね。定義が微妙な所もあって。

長谷川:まあ、エンジニア上がりっていう事ですからね。

手島:そうそう。こっちのプロジェクトマネージャーは、少なくともPixarのプロジェクトマネージャーは問題の障害になることをどんどん、積極的に探していって、「君は今何にブロックされているんだ」「これは何をしたら解決するんだ」と、タスクのプライオリティーとかも本当に部活のマネージャーみたいな。マネージャーってそういう事なのかなって、感じで。

長谷川:「部活のマネージャーみたい」って、ちょっと、よくわからなくなったんですけど。

手島:いや、プレイヤーが一番パフォーマンスを出せるように。マネージャーって管理するってことじゃないんですよね。やっぱり、うまく物事が進むように。

長谷川:そういった意味なんですね。

手島:ええ。進めてくれる。助けをしてくれるという、だからこれはね。助かってますね。

長谷川:管理とマネージで違いますからね。

手島:管理とマネージって違うんですよね。

長谷川:アドミニストレーションとマネージメントって違うことですからね、そもそも。

手島:でも日本でマネージャっていうと、上司とか偉い人って感じじゃないですか。こっちは、やっぱ、上司ではないですよね。マネージャって、そういうポジションで。

長谷川:そういうレスポンシビリティーを持っている人。

手島:それで、エンジニアとかの特化した人たちがうまく働けるように全力を尽くしてくれる人という、これはすごい面白いなと思いました。

長谷川:役割分担っていうか、スペシャリティーをベースに仕事をしているような感じ。

手島:そうですね。そういう、本当にアメリカっていろんなスペシャリティーを持った人がいて、それぞれがちゃんと、それぞれの待遇で働けてるんですね。ちょっと話がずれちゃいましたけど。

長谷川:いえいえ、すごくいい話です。

手島:それでまあ、面接をしまして。でね、面接は大変なんですけど、やっぱりアメリカで働くって一番大変なのはビザなんですよ。

長谷川:なるほど。『OK』ってオファーレターが来れば、もうビザはOKみたいな、そういう状態に。

手島:なんですけど、これは『鶏と卵』みたいな感じなんですけど、アメリカのワーキングビザってすごい大変で、まず年間、H-1Bビザというのが一番一般的なビザなんですけど、アメリカの現地企業で就職するためにはH-1Bビザが必要なんですね。永住権を持っている人は別にして。日本のエンジニアでアメリカで漠然と働きたいなと思っている人たちは、まずこのH-1Bビザを考えなきゃいけないんですけど、このビザって年間で6万5千人にしか出ないんですよ。

長谷川:それは世界、アメリカで働きたいっていう(人を対象に?)。

手島:そうそう。これが10月1日から働けるビザっていうのを年間6万5千人なんですけど、それの申請が4月に始まるんですよ。4月に始まって半年後に働けるようになるわけじゃないですか。ところが、その4月の申請には会社のサポートが必要なんですね。ということは、申請の前に会社から内定をもらってないとビザの申請ができないんですよ。だけど、アメリカの会社ってオファーを出したら「来週、働ける?」って感じじゃないですか。「来月働ける?」って。だから、アメリカの会社ってまず、半年後に働けるようになるって人は基本、あんまり採らないんですよ。

長谷川:すぐに来れる方。

手島:すぐに来れないから。だったら、すぐ来れる国内の人の方がいいじゃないですか。だって、アメリカの会社はポジションは空いているから、そのポジションを埋めたくてハイアリングしているもんで。

長谷川:半年間空くわけですからね。

手島:そうそう。すごいおかしい話ですよね。この4月から6万5千人の枠がいつ埋まるかっていうのが一番の問題だったんですけど、だいたい2005年、2006年くらいまでは4月から受け付けが始まって一週間とかで終わっちゃうんです。10月からの分も。

長谷川:それ、先着順とかなんですか?

手島:基本は先着で、それから審査があって、だいたい。そもそも審査に通るような人、学歴があって職歴もあって、会社のサポートもあるっていう人は9割方、通るとは思うんですよ。

長谷川:そこはあんまり(気に)しなくていいんですね?

手島:ええ、そこは別に心配しなくていいんですけど。

長谷川:なるほど。でも一週間しか余裕がない。

手島:そうなんですよ。それ、もう、絶望的じゃないですか。

長谷川:はい。

手島:よっぽど俺は、よっぽどすごい人で、この日は絶対この会社に欲しいっていう人は半年待ってくれるかもしれないですけどね。ところがリーマンショックがあって、リーマンショックの後、前後して、すごいそのH-1Bビザの審査が厳しくなったこともあるし、会社がサポートしなくなったこともあって、すごい空くようになったんですよね、それが。なんか、一説によると、インド人がすごい猛烈に。

長谷川:帰っちゃったから。

手島:そうそう。そんなような感じで。猛烈にapplyしてたのが減ったからって話なんですけど。2010年、11年は、10月11月くらいまでビザが残ってたんですよ。そうするとすごいラッキーで、9月に申請して10月から働けるんです。

長谷川:それはすごい。

手島:もう、めちゃめちゃラッキーだった、すごく。僕の時も9月に面接してオファーをもらって、そこからすぐにビザの申請手続きに入って、会社が弁護士事務所をつけてくれて、1か月でおりて12月から働けましたね。

長谷川:それは相当ラッキーですね。

手島:いや、めちゃめちゃラッキーだったんですよね。

長谷川:その位の、なんかタイミングが合わないと。

手島:これは、本当にタイミングが大事で、そういう年がある。年によって波がありますけど、景気のいい・悪いとか。そういうチャンスが是非あったら逃さずに使うっていうのが大事ですね。

長谷川:そもそも、難しくないですか、それ。

手島:そうそう、難しいんですよ、だから。

長谷川:あの、僕が昔いたオラクルという会社ですと、ヘッドクオーターで働くというのが、もう本当に半年くらい前に選考があって。

手島:はいはい。それはまた違うビザなんですよね。

長谷川:あ、そうなんですか。ちゃんとつながりのある会社に行くとかだったら。

手島:いえ、まず日本の支社でまず採用されて、日本の支社の駐在員ビザとかはわりと、いつでも取れるんですよ。それでアメリカのヘッドクオーターで働いているうちに、働きながらH-1Bビザに切り替えるとかいうのは全然あり得る。だって、その間働いているから。

長谷川:転籍なのでたぶん初めからH-1ですよ。

手島:それもOKですね。たぶん4月から10月までの間、日本で働いているから、だからそれもOKですよね。

長谷川:それ以外の時っていうのは。

手島:アメリカにしか拠点がない会社の場合って。

長谷川:難しいですよね。

手島:本当、どうしようもないですよ。

長谷川:それをうまく乗り切ったんですね。

手島:そうですよね。本当にラッキーでしたね。

長谷川:持ってますね?(笑)

手島:これができない人は、OPTといって学生、留学生は学校を卒業した後に半年とか一年間、働けるビザがあるので、それでインターンとして働き始めるというのがあり得るんですけど。

長谷川:半年間、働いて、H-1に切り替える。

手島:そのあとH-1に切り替えるというのがあり得ます。ただ、やっぱりそれだと、学校に入らないといけないので、社会人からは難しいじゃないですか。

長谷川:学校に通っていないといけないんですか。

手島:そうですね。もちろん学校に通って、3年4年通わないといけないので。

長谷川:結構きついですよね。

手島:きついですよね。ビザの問題をどうクリアするかていうのが一番アメリカで働きたいという人に対しては一番ね。

長谷川:アメリカで働きたいって考えられてる方がもしいらっしゃったら。

手島:いるんだったら、そういうチャンスをまず逃さないでほしいなと思いますね。

長谷川:まずは、バンクーバーに行くところから。
手島:そういう可能性はありますよね。CG会社とかだったら、Pixarもバンクーバーに別のPixarカナダという会社があるので、カナダはもうちょっとビザは取りやすいですよ。

長谷川:カナダはポイント制ですよね。

手島:カナダはすごい簡単なので、カナダで働いて、まずは関連のある会社から、中でトランスファーするというのはわりとあり得る話なので。

長谷川:Pixarは日本にはないので。残念ながら。

手島:あとはグーグルとかだったら日本のグーグルで働いて、本社とか兼籍とかね、あり得るんじゃないですか。

長谷川:グーグルは、そもそも入りにくいんじゃないですかね。オラクルの方が全然入りやすいですよ。

手島:わからないですけど。

長谷川:ただ、もう、なかなか本社に行くというのは、あんまりないんじゃないかなと思いますね。

手島:でも、やっぱりこっちに働いているから言えることですけど、アメリカで働くっていうのはだいぶ違うと思いますね。

長谷川:それはどういった感じの。

手島:日本で働く外資系っていうのがどういう所か、僕はあんまり知らないんですけど、アメリカのシリコンバレーとか特に西海岸のこの辺で働くっていうこと自体にすごい魅力があるんですよ。本当にそこら中にいろんな人がいて、どんどん、どんどん人脈ができていく感じですし、コンベーションとかもすごい沢山あるし。コンベーションだけじゃなくて、プライベートな会社ごとのワークショップみたいなものもいっぱいあって、どんどん情報が入ってくるんですよね。

長谷川:何かネットワーキングしやすいってことなんですかね。

手島:ものすごく、そうですね。どんどんチャンスがつかめる。いやあ、こっちのネットワークは、もうまず、どんなBusiness opportunityがあるかってところから始まりますので。

長谷川:そこは多分違いますよね。日本で働いてて、少なくとも自分の例のことを考えても、仕事終わった後にのみに行くのはたいがい会社の人なんですよね。

手島:まあね。あれはあれで楽しいですけどね。こっちはあんまり飲み会とかなので、それはさみしいですけど。

長谷川:ちょっと色々、お話を伺ってしまったんですが、アメリカに行こうとか、あるいは日本以外で働こうとかいう方がいたら、まずビザに気を付けて。

手島:そうですね、いや、まずそこから始まります、僕は始まらなかったですけど(笑)

長谷川:本当に『鶏か卵』で、人と出会うことっていうのがなければビザをとってもしょうがないですし、それがコンベンションに行っても会えない人は会えませんからね。 

手島:積極的にネットワークを使うということと、あとはビザをはじめ、そういったいろんなconstraintがありますけれども、それは大事だと思います。

長谷川:うまく切り抜けて。まだまだチャンスはありますか。

手島:僕だって、38になってアメリカに行くとは思わなかったですよね。
長谷川:本当に予想していなかったんですか。

手島:いや、全然もう。ただ、福岡に引っ越して、意外と引っ越せるなと思って。

長谷川:引っ越しした時に荷物を捨てるのは、結構引っ越しって。

手島:そうそう。結構、断捨離って大事だなと思って。それで身軽になることでアメリカにも引っ越せるんだっていう。

長谷川:引っ越しすることでそこまで考える人ってあんまりいないですけど。なるほど。コンベンションに行く前にまずやるべきことは、引っ越し、と。

手島:まあ引っ越しか、いらないものをいろいろ捨てる、と。身軽になるって本当に大事だと思います。

長谷川:身軽になると発想もしやすくなりますよね。心が軽くなるというか。

手島:本当に、2人の子供も連れてアメリカに来てしまいましたけれども、子供は引っ越せますけれどもね。あまりいらない荷物にこう縛られないようにするのがいいと思います。何を話してるんだろう(笑)

長谷川:いや、大丈夫です。わかりました、是非アメリカで働きたい方がもしいらっしゃいましたら、今日のお話を参考にして頂けると思います。今日はここまでということで。

手島:ありがとうございました。

2012-10-10 | Posted in techghostNo Comments »